大都会、そのひずみで

「もう少し行ったところです」耳人形と東を乗せたバスが、s停留所を出た。


「こ、ここあたりです。人面犬がいたんです。」


「人面犬か..珍しいな。」


「おかしいと思ったんです。牛丼屋から出てきたのが、犬だったんです。しかも顔は人間!!」


「いつの話だっけ。」


「1週間前の木曜日ですよ。」


耳人形は愛想笑いをして、言った。

「人面犬、いたら不思議だね」



1週間前の木曜日、耳人形は泥酔して、牛丼を食べたあとに、気が緩んで術が解けたのだった。


ただし、あまり気楽に街の犬の顔を見ないほうがいいかも知れない。


なぜかというと、あなたの顔を覚えられてしまうからだ。


それは大都会のちょっとした不思議だ。


ただし、時として‘迷い人’になってしまうかもしれないでしょ?

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