新・魔導具ショップサイトで異世界を快適に過ごしたい

風と空

1章 旅立ちまでの道

第1話 プロローグ

「おかしいでしゅね〜。このじょうきょうは」


 草原で座っている小さな子供が一人呟いている姿って異様よね……。


 って、あら。皆さんはじめまして。私は佐々木 由依ゆい(22)。会社からの帰り道に信号を渡ろうとしたら、信号無視したトラックが突っ込んできて……ってとこまでは覚えているの。


 「きゃあああああああ……あああ?」


 え?これ私の声?ちょっと幼すぎない?って手を見てみるとぷにぷにお手手。アレ?何で私の胸なくなっているの?というか地面が近い……。というのがさっきまでの状況。服もチュニックとズボンになっているし、足にはちゃんと靴らしきもの履いているけど……どうなっているの?


 それに私の持っていたものは?それに今日こそは早く帰って、しっかり料理してゆっくり趣味のネット小説読むつもりだったのよ。気になっていた小説の続きが読めると思ったのに。って考えてたら……なんかむかついてきたわね……


 「もーーー!!しぇきにんしゃ(責任者)でてきなしゃい!」


 ヴァン………


 両手をあげて思いっきり叫んでも赤ちゃん語で、しかも丁寧口調って……とショックを受けていたけど、それ以上になんか不思議なものが目の前に出てきたんだけど。何コレ?


 透明な画面に知らない字が書かれているのに、私読めてる。ええと……


『佐々木由依様。

 ようこそエクレシアへ!

 貴方をこの地にお呼びしたのは私です。地球で生きてきた方の存在がこの地の活力になる為こちらへお呼びさせて頂きました。この地にお呼び出来るのは事故で亡くなる予定の方のみです。ただ地球での貴方の身体は事故で使用不可能になりましたので、このエクレシア対応の身体をご用意致しました。但し、損傷が激しかった為、3歳の年齢からのスタートになります事をご了承下さい。


 また貴方にはきてくださった恩恵として、スキルに「魔導具ショップサイト」と「アイテムボックス」を授けます。スキルは使用する度にバージョンアップしていきますので頻繁にご使用下さい。また、アイテムボックスの中には当座必要なものを備えておきましたのでご確認ください。


 お呼びした上で申し訳ありませんが地上への接触は今回限りとなっております。どうかこのエクレシアを第二の生の地とし健やかにお過ごしくださる事を願います。


               クレーリア』


 読み終わると、またヴァン……と画面が代わり今度はゲームみたいなステータス画面がでてきたの。


 ユイ (3) 女 人間

 HP 100

 MP 1,000,000

 スキル 魔導具ショップサイト

     アイテムボックス

 称号 異世界からの渡り人

    クレーリアの祝福(魔力増幅)


 ……なんかツッコミどころいっぱいなんだけど。


 とりあえず必要なものが入っているアイテムボックス確認してみようかな。えっと、タップすると説明が出てきた。なになに『アイテムボックスオープン』と心の中でいうと良いのね。……でも誰もいないから言ってみようかな。ちょっと憧れだったのよね。


「あいてぃむぼっくしゅおーぴゅん(アイテムボックスオープン)」


 言えてない……けど通じるのね。ええと、またウィンドウが出てきたけど、入っている物は?と……


 買い物袋×2

 パン×100

 水(500mlペットボトル入り)×100

 デラックス魔導テント(拡張タイプ)×1

 洋服×5

 下着×5

 金貨×5

 銀貨×500

 銅貨×1,000

 鉄貨×1,000

 ・

 ・

 あ!買った物ここにあった!嬉しい〜!

 後は必要物ね。お金もあるのは助かる!ええと……あ、タップすると出てくるのね。まずはデラックス魔導テントっていうの出してみようかな。ちょっと休めるところが欲しいし。


 そう思って出してみたんだけど……ねぇ?デラックスって言葉要らないんじゃない?って位普通の三角一人用テント出てきたの。


 ま、私小さいから良いけど、と思って中に入ると「ほわああ!」って間抜けな声を出しちゃった。


 中に入ると広いリビングダイニングが広がっていたの!勿論照明付き!嬉しい!綺麗な絨毯カーペットにふかふかロングソファー!憧れのアイランド型キッチン!奥には扉が三つ。二つは大型男女別トイレ、もう一つは広い洗面所に脱衣室、あ!浴室につながっている!きゃぁ!檜作りのいい香りの大浴場じゃない!後で入らなきゃ!


 そしてリビングの右側には扉があったの。そこを開けてみると、通路を挟んで左右に10ずつ扉があったの!何とか中を見てみたいと手を伸ばして……届いた!レバータイプだから良かったあ。開けてみると……


 ワイドダブルベッド、サイドチェスト、テーブルに椅子、大きめのクローゼットが備え付けられていたの!しかもベッドには足台付きだったから私でも楽に上にあがれる!


 「あこがれのだびゅるべっど(ダブルベッド)でしゅね!」


 靴を脱いでバフッとベッドへダイブ!ほわあ!フワッフワ!

 気ー持ちいいー!


 さてっと。寝転んだままちょっと整理。


 どうやらここは異世界決定。

 で、あちらの私は死んだって事ね。

 帰る事は出来ない……か。

 

 でも何でかしらね?悲壮感がないの。多分こちらの身体に適合しているからかしら。それに言葉だって3歳児もっと話せるはずなのに、どうして赤ちゃん言葉?……ここにきてまだまもないからかしら?何にしても……なんか……眠くなって……きた……


 3歳児の体力なんてそうあるものじゃないし、疲れた私はそのままベッドで一晩を過ごす事になったのでした。

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