第8話 私にも好きな人は居る
何というか涼子の様子がおかしい気がする。
どうおかしいかといえば.....そうだな。
例えばいきなりチークキスをぶちかまして来たりとか。
明らかにおかしい。
思いながら俺は、ふむ、と思いながら悠希に挨拶して寝た。
それから翌日になる。
「.....うん?.....朝か.....」
そんな事を呟きながら俺はチュンチュんと声がする表を感じながら横に手を添える。
そして柔らかい滑らかな感触がして俺はあまりにビックリした。
何が起こっているかと思ったら口に触れていた。
横に涼子が居たのである。
それにビックリした。
驚愕するレベル。
「お、おい。涼子!?何をしている!?」
「ん?.....あ、お、おはよう」
「涼子.....お主は何をしている」
「も、モーニングサービス」
モーニングサービス!?
俺は目をパチクリしながら涼子を見る。
すると涼子は、えへへ、と言いながら俺を見る。
何この愛おしい生き物.....じゃ無い。
「お前.....本当に何をしに来た」
「ち、朝食を作りに来たに決まっている。それで元一を起こしに来た。そしたら寝ていたからまた私も寝た」
「そしたら、じゃ無い!お前は.....何かしたらどうする気だ!?俺が!俺は男だぞ!」
「う、うん。まあそうだけど。.....でも信頼しているから」
あのなぁ、と思っていると。
ま、まあまあ、と言いながら涼子は立ち上がる。
それから、じ、準備して。急がないと遅刻するよ、と笑顔になる涼子。
俺はその姿に!と浮かべてから時計を見る。
「まずいな。確かに。先に行っててくれ」
「そ、そうだね。急いで。おべ、お弁当も作っているから」
「そうか.....は!!!!?」
「じゃ、じゃあ待ってる」
「待て!?」
お弁当を作っている!?
それってどういう意味だ、と聞こうとしたが涼子は去ってしまった。
俺は唖然としながら口元に手を添える。
まるで夫婦だな.....と。
☆
「何でお弁当まで作ろうと思ったんだ?」
「そ、それは.....色々」
「色々じゃ分からないぞ.....まあでも色々なんだな?」
「そ、そう。乙女には内緒にしたい秘密がある」
言いながら口元に人差し指を添える涼子。
それから不器用なウインクをした。
俺はその姿に盛大に溜息を吐きながら、そうか、と返事をする。
そして俺達は朝食を頂く事にする。
何か色々ある。
卵焼き、じゃがいもの煮付け。それから魚、味噌汁、ご飯。
母親と父親はもう家から出ている。
つまりコイツ一人で作ったのか?
信じられない。
「頑張ったなお前」
「え、えへへ。頑張った」
「外は大丈夫だったか」
「そ、そうだね。.....五月蝿かったけど私はここまで来れた」
言いながら、た、食べよう、と涼子が促してきた。
俺はその言葉に笑みを浮かべて、そうだな、と頷く。
それから俺達はご飯を食べ始める。
味は.....めっちゃうま。
「お前本当に料理が上手になったよな。.....昔より遥かに」
「そ、そうかな。.....そんな程でも無いと思うけど。で、でも有難う。元一。そう言ってくれるだけ有難いと思う」
「俺は.....結婚するまでお前を見届けたいって思うよ。.....大切な人が見つかるまで」
「.....」
その言葉に何故か黙ってしまう涼子。
それから少しだけ複雑な顔をしてから顔を上げる。
そして満面の笑顔になる。
そうしてから言う。
「わ、私は.....好きな人が居る」
「え?!は!?マジかよどんな人だ!?」
「そ、その人は私みたいなのを構ってくれて昔から大切な思いを抱えて生きている。大変なのに私なんかに構ってくれる。とても愛おしい大切な人」
「そんな奴が居るんだな。良かったじゃないか」
少なくとも鈍感で無ければ俺じゃない。
俺が似合う訳が無いしな。
コイツの横には別の誰かが立っている。
そう思える。
そして俺は苦笑いを浮かべる。
「良かった。涼子をそう思ってくれる奴が居て」
「う、うん.....」
「どうしてそんなあからさまにガッカリするんだ?良いじゃないか」
「う、うん!そうだね.....うん」
そして、じゃ、じゃあご飯を食べて。急ごう、とまた口角を上げた。
それから柔和な感じを見せる。
俺はその姿に、だな、と言いながらご飯を食べた。
何だか知らないがモリモリ食べれた気がする。
☆
「おう。どした?かなり上機嫌じゃないか」
「そうだな。.....色々あってな」
「吹っ切れたか?アイツとは」
「そういう意味もあるけどな、ちょっと違うな」
保健室に涼子を見送ってから。
俺は奈良と上機嫌に会話をしていた。
周りでは相変わらずだがメルの噂が囁かれている感じだ。
俺はそんな姿を見ながら奈良を見る。
「奈良。今日な.....涼子が弁当作ったんだ」
「お。良かったじゃないの。ならもしかして次の彼女は涼子ちゃんか?」
「涼子?.....無いな。俺が涼子に似合うと思うか?」
「分からないぞ、って思ったが。.....でもお前がそう言うなら違うのかもな」
顎に手を添えて悩む奈良。
その言葉に、だろ?、と俺は話しながら。
何だか訳が分からず抑えられないままの上機嫌の気持ちを無理矢理、抑えつつそのままホームルームを受け始める。
そうするとテストの話になった.....最悪である。
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