生きる価値

荼八 十吾

生きる価値


この涙 波間の一瞬 切り取って

然れどもここで 終わることはなく



燃える火と 鈍痛まみれ 瞳には

青い光で 刺されるばかり



自由とは そんな疑問を 持ち始め

挙げ句の果てに 縛られ悔やむ



渡船場を 見下ろす橋に 一人立ち

終わるすべには あと一歩かな



常夜灯 照らす木造 洋食屋

焼けた匂いが そこには残る




薄焼けた 都会の深夜 懐かしむ

ひらけた空は 心のようで



呟きは 頭の中では 大ごとで

いかに藻掻けど 止まらずにやむ



この指と 頭が無ければ 詩なんて

書かずに済むし ましに生きれた



優しさの 呪いも同じ 穴二つ

ここではみんな 分かち合う性



鏡面が 映す姿は 偽物で

瞳に映る それも同じで




朝なんて とっくの昔に そこにあり

締め切った戸は 開くはずも無く



手が伸びる 然れどもつかむ ことは無く

視える闇は 暖かく在る



浴槽に 浸す身体は 借物で

命は神の かけた保険で



うそつきで せいけいされた このよでは

いきるりゆうも そこにありけり



山の中 朽木を照らす 竹藪に

幼さそこで 落としたようで




カナリアが 鳴いたところで 変わらない

ここが居場所で 守るべきモノ



水滴が 過ぎた時間を 物語る

然れども話は 平行線で



落ちること 出来ずに迎える 二十四

今年はどうか 願う日々



悩みとは 行動せねば 意味は無い

それができれば どれだけ楽か



劇薬を 煽ったところで この身体

何度やっても 代わることなく

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生きる価値 荼八 十吾 @toya_jugo

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