第16話 第2ステージが終わって

喫茶店『エントランス2016』

 誰も口を開くことなく時間が過ぎて行く。まだ、さっきまでのゲームの余韻というのか、何か抜け切ってないものがあった。誰もが押し黙っていた。


 そんな重い空気を変えたのはまいだった。

「ねえ、みんな疲れたね。応援してくれてありがとう。プリン食べない?」


舞がみんなにプリンを配る。


「ありがとう」

舞の友達たちがプリンを受け取りながら微笑む。

「このプリン美味しいよね」


「私が作ってるのよ」


「え! 舞が作ってるの?」


「驚いたでしょ」

舞が微笑む。


優子ゆうこ佐和さわは驚いたようにるいれいの方を見る。


泪が微笑みながら頷く。


「へえ、驚いた。美味しいよ。なんか甘すぎず焼きプリンみたいで……」

「カラメルソースがまた絶妙なのよね。ほろにが甘い感じっていうか」

雄介ゆうすけの言葉に頷きながら優子も声を合わせる。


「ほんと、ほんと」

恵人けいとと佐和も満足そうに食べている。


「ちなみに今みんなに食べてもらってる、このプリンはお店の売り物メニューじゃないんだよ」


「そうなの?」


「だって素人の私が作ったプリンだから……」


「どうぞ、和也かずやさんと京介きょうすけさんも食べてください」

「うん、ありがとう」

和也と京介が舞からプリンを受け取りながら微笑む。


京介が麗の肩に手を置いて言う。

「驚いたね。今日の対戦は」


 あまりの衝撃に、まだ、今日参加したゲームの状況を十分に呑み込めてない様子の麗。

 舞からもらったプリンの上にスプーンを滑らせながらゲームのことを思い返す。


「何者なんだろうね。あの三人……」

呟く麗。


舞がプリンを食べながら天井を見上げる。

「さあねえ。でも、そのうちどこかで正体を現すんじゃない?」


麗もプリンを食べ始めた。

「おいしいよね。このプリン……どんな人たちだと思った?」


「うん……」

雄介が微笑みながら、

「意外と隣に住んでる人とか……良く知ってる人だったりして」


「まあ、このゲーム。リアルの世界でも段々話題になり始めてるから、そのうちわかるんじゃない」

泪もプリンを食べながら微笑む。


 その日はその後少し話をした後、皆それぞれに家に帰った。


◇◇◇◇◇◇

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