コードネーム Zero One

KKモントレイユ

第1章 ゲームのはじまり

§ 01 第1ステージ

第0話 プロローグ 戦慄

 日曜日、昼前の駅前広場は大勢のサラリーマンやOL、学生など行き交う人々や待ち合わせをしている人々で賑わっていた。


 そんな中で、一人の美しい女性がスマホを見ながら時間をつぶしていた。前髪をそろえ肩までのストレート、色白で華奢な感じ、彼女の名前は美景麗みかげれい

恋人の岡京介おかきょうすけとデートの約束をしていた。


◇◇◇◇◇◇


 小学五年生の小咲崇こさきたかしは走って帰ってきたかと思うと、そのまま自分の部屋に走り上がって行った。


 今日は昼の十二時からオンラインゲームに参加する。友達のサトル、カガミと一緒に参加する約束をしていた。


 十二時前、画面を開く。三人一組、軍用ヘリコプターのような機体で戦っていくシューティングゲームだった。


タカシ「へえ、なんだか操作は簡単だね」


サトル「ほんと。これだけか。まあ気楽にいこうぜ」


カガミ「頑張ろうね」


十二時。ゲームが開始された。


◇◇◇◇◇◇


 京介はまだ来ない。麗のスマホに連絡が入った。


「ごめん。あと十分で行ける」

京介からLINE だ。


麗は微笑み。

「気を付けてね」

と返した。


 駅前の人々は相変わらず慌ただしい。麗と同じくずっと人を待っているらしい人も数人いる。隣にいるスーツ姿の男性も何やらスマホの画面を見ながら先程からずっといる。大学生風の女性二人も誰かを待っているようで話をしながらスマホをいじっている。


◇◇◇◇◇◇


サトル「すげえな」


カガミ「ほんと、まるで本当に空を飛んでるみたい」


タカシ「来たぞ」


 タカシがいきなり斜め前方現れた見知らぬ機体を撃ち落とした。近くにいた二機の機体がこちらに気付いて逃げようとしたが、まるで獲物を追う鳥のようにサトルとカガミが追いかけて行きロックオンしたかと思うと逃げ切る間もなく二機を撃ち落とした。


タカシ「いい感じ」


サトル「こんな感じでいいんだな」


カガミ「こわかった」


タカシ「ハハハ、そんな風じゃなかったな」


 それから数回そんな対戦シーンがあったあと、一機の機体が飛んでいるのが見えた。このゲームは参加している機体で、現在生き残っている機体が何機いるのか、わかる様になっている。タカシたち以外に、三機……残り二機はどこにいる?


タカシ「やっつけるか」


サトル「ああ、そういうゲームだろう」


その機体に向かって行くサトル。


サトル「よし、ロックオンした」


カガミ「サトル逃げて」


 どこから現れたのかサトルはロックオンされた。急いで逃げるサトルの後ろからミサイルが発射された。旋回してカガミがミサイルを撃つ。ギリギリのところでサトルを狙ったミサイルは撃ち落とされた。そのままカガミは雲間から現れた二機の敵機の後ろにつけたかと思うと一瞬でニ機を打ち落とした。先程、前を飛んでいた機体が援護しようと旋回したところをタカシがロックオンし撃ち落とす。


サトル「ふう……ありがとう」


タカシ「どうってことない。こういうゲームだろ」


サトル「カガミ、ありがとう」


カガミ「こういうゲームでしょ。それよりステージ最後の敵よ。」


目の前に大きな要塞が現れた。


カガミ「この中に入っていくの?」


タカシ「他にないでしょ」


 三人は要塞の中に入っていく。意外と何も攻撃してこないまま奥の広い空間着いた。その地上に戦車のようなものが見える。三人は機体を滞空させ様子を見た。


◇◇◇◇◇◇


「ごめん、ごめん。麗、お待たせ」

京介が駅の方から走ってきた。


「いいよ。いいよ。おなか減っちゃった。食べに行きましょ」


 そのとき駅前広場の上空に、どこから飛んできたのか一機のドローンが現れた『なんでこんなところにドローンが?』誰もが不思議そうに見上げている。


 ドローンは駅前広場の中空でこちらの様子を窺うように滞空していた。


◇◇◇◇◇◇


 これがこのステージ最後の敵なのか? ときどきミサイル攻撃してくるが先程までのリアルな参加者が操縦する敵と違い攻撃をかわすのも簡単だ。


タカシ「これでこのステージは終わりなのか」


今この瞬間をこのゲームに参加している全員が見ている。タカシがロックオンした。


タカシ「このステージ。いただき!」


ミサイルを発射。最後の敵は呆気なくやっつけることができた。


◇◇◇◇◇◇


 パン! というクラッカーが弾けるような乾いた音とともに、ドローンから紙吹雪がパラパラと舞ってくる。


「何なの?」


不思議そうに見上げる麗。京介も呆然と見上げるばかりだった。


ドサッ……

という音とともに近くにいた男が膝から崩れる様に倒れた。


「なに?」


誰もが、その男の方を見る。


「キャー」


 近くにいた数名の女性が悲鳴を上げた。倒れた男の頭の辺りから血が流れ広がっていく。


「撃たれたぞ!」

「救急車だ!」

慌ててスマホで救急車を呼ぶ者。

「警察に連絡しろ!」


◇◇◇◇◇◇


 敵をやっつけると同時に要塞が崩れ始めた。


サトル「なに?」


カガミ「ここから逃げなきゃ」


 慌てて機体を操縦し、崩れてくる要塞の瓦礫をかわしながら三機の機体は何とか逃げ延びた……と同時に要塞は崩れ落ち、ボーナスポイントが表示された。


◇◇◇◇◇◇


 騒然となる駅前広場。気が付くとドローンはどこかへ飛び去っていた。撃たれた男に気を取られ、誰もがドローンの行方を見逃していた。

 真昼の駅前広場で公然と殺人が行われた。しかも誰がどこから操縦していたのか無人の機体でだ。

 犯人はこの場所を見ながら操縦していたのか? どこかのビルの一室? それともドローンのカメラ? 

 いずれにしても、今目の前で起こった事実だけでもかなりの衝撃だった。

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