第十二話 異国の戦士
《
「ここに居てもらっては困ります。お引き取りを!」
「そんな固いことを言うな。なぁ栗」
「左様。ただ見るだけじゃよ」
「であれば、あちらの人混みにお戻りを。警備の方たちは一体何をやってたんでしょうか」
「あぁ、それならぶち抜いてきた」
「ははは! さすが朔夜ばい!」
「浦島殿、笑ってる場合じゃないでしょう! あなたの知り合いというならばあなたがご説得を!」
「こうなった朔夜を止めるのはもう無理ばい! それに栗ちゃんもこげんなったらしつこいけん諦めり!」
「しつこくはなかろう。ほんの少し見せてもらうだけじゃ」
「そうだ! 私はデコでも動かん!」
「テコじゃぞ」
異国の戦士なんていう、わくてかキャラ。
逃すわけがない!
「浦島殿、これは外交関係上の大きな問題になるんですよ」
「そうは言われても無理なもんは無理かろうもん」
「テコでも動かん!! ……なぁ栗、テコってなんだ?」
そうこうしているうちに船が着く。
降りてきたのは四人。
アイツらが異国の戦士とやらか。
いっちょ戦ってみるとするかな!!
「おい! お前達、私と戦え!!!」
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僕が着こうとした時にはすべて遅かった。
「おい! お前達、私と戦え!!!」
離れていても聞こえる大声。
また朔夜さんがやってしまったようだ。
いつもはブレーキ役の栗太郎も今は役に立たない。
慌てる時貞さん、笑う浦ちゃん。
呆気にとられる異国の人。
場は混沌を極めている。
「申し訳ございません! 彼女は間違えて入ってきた一般人でして!」
「お前達、異国から来た戦士なんだろう? 来てもらったところ悪いが、鬼にやられないかお前らを試してやろうと思ってな!」
「もう何もしゃべらないでください!!」
てんやわんやする時貞さん。
すごく気持ちはわかります。
「ずいぶんと失礼な奴ね」
「ふふふ、そう? 面白い人じゃない??」
銀髪の青い服を着た耳が長い女性が言う言葉に、
同じく耳の長い同じ顔をした金髪の女性が答える。
「ははは。歓迎されてるって思っていいのかな?」
「わかりませんが。さて、いかがなさいましょうか」
眼鏡をかけた空色の男性に、純白の女性が返す。
銀髪の青の女性は不服そうに朔夜さんに言った。
「ねぇ、アンタ。ケンカを売ってくるのはいいけど、何者なの?」
「人に名前を尋ねるときは自分から名乗るのが礼儀じゃないのか? 異国じゃ違うのか?」
「ふふふ。そうね、私はティナ。あなた達の王様に鬼退治の依頼を受けて、クインピアに雇われた普通の傭兵さんなの」
朔夜さんの言葉に微笑んで
金髪の黄色の服の人が答えた。
名前はティナっていうらしい。
「ちょっと、ティナ! 何名乗ってるのよ」
「いいじゃない、名前くらい」
「いいけど、アイツの言うことを聞く感じなのが嫌なのよ」
その言葉を聞いて他の二人も続けた。
「僕の名前はロミオ。クインピアの国営ギルド『
「私はスノウです。この使者隊の代表です」
「もう、なんで二人も名乗るのよ!」
「別に。名乗って恥ずかしい名ではないので」
純白のスノウさんという人は
銀髪の青い人にそう答える。
「私だけ名乗らないのがバカみたいじゃない。いいわ。私の名前はペ……」
「私の名前は朔夜だ!」
「なんなのこいつ!!」
絶対やると思った。
なんですぐそんなに人の嫌がることするんだろう。
「ふむ。双子が腰にかけている武器は魔具じゃな。他の二人の武具は見当たらんようじゃがどこにあるのかのう」
栗太郎は言わずもがな。
「まぁまぁペルちゃん、落ち着いて。ね?」
「いやよティナ! アイツ絶対ぶっ飛ばしてやる!!」
なだめるティナさんを振り切ろうとする
銀髪の……いやペルさん。
すぐさまロミオと名乗った眼鏡の男性の人も
ペルさんを止めに入った。
そして、代表と名乗ったスノウさんが
朔夜さんに問う。
「ペルさんが言ったことにも一理あります。私たちは鬼退治に来ましたが、あなたは私たちを試すほどの実力をお持ちなのですか?」
「あぁ。お前達が鬼を倒しに来たというならば、なおさら私と戦うことに意味はある」
そう言って、朔夜さんは大きく息を吸い、
鬼化を解き放つ。
「わかったか? 私も鬼だ。それも鬼の階級で言えば上から二番目の
朔夜さんの鬼化を見て四人の目は本気になる。
「なるほど。確かに鬼だね。冗談ってわけじゃないようだ」
ロミオさんは何もない空中から何かを生み出した。
あれはじっちゃんやばっちゃんが
たまに使っていた猟銃に似ている。
「おぉ! あれはもしや魂人族の
ちょっと、栗太郎も止める側に入ってほしい。
「お待ちください!!!」
時貞さんが大声を上げた。
「数々のご無礼、誠に申し訳ございません! あなた方を今すぐにでも我が国の首都『京安』へとご案内いたします。このような者は放っておいていただけますよう……」
「いえ、謝る必要はないわ。こいつの言う通りよ」
ペルさんが時貞さんの言葉を遮り、続ける。
「私たちは鬼退治に来たの。こいつが本当に鬼ならいい腕試しになるわ!」
「お前、話が分かる奴だな」
朔夜さんとペルさんの目が合う。
「しかし、あなた方は大将軍のお客様ですので」
「だからこそ、私たちの願いを叶えなきゃじゃないの?」
そう言ってペルさんは腰から魔具を抜く。
「おぉ! ついに使うのか!!」
栗太郎だまってて。
「……わかりました。ならばせめて場所を移させてください。ここは街中ですし、人の目もありますので」
時貞さんの何かをあきらめたような顔。
わかる。僕、絶対仲良くなれる。
「そうね。自分から喧嘩打っといてボロボロにされるなんて惨めになるものね。こいつが」
「そうだな。せっかく来たのにズタボロにされるの見られたら悲惨だもんな。お前が」
あれ? もしかしてこの二人相性いい?
「ふふふ。この方、ペルちゃんと気が合うのかも」
「「合わない!!」」
「ほらぁ」
ティナさんのゆるーい言葉に
二人は同じ言葉を同じタイミングで返す。
ばつの悪い顔になった二人を含め、
僕らは場所を移動した。
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「さて、この辺ならばいいだろう」
「そうねぇ。ちょうどいいんじゃないかしら?」
僕たちは少し離れて、
朔夜さんとペルさんの戦いを見守ることになった。
「私は誰でもいいのだが、お前が相手か?」
「えぇ。悔しいけれど、この中ではロミオの次に私が弱いわ。ティナとスノウは強すぎるから私くらいがちょうどいいのよ」
さらっとロミオさんを巻き込むペルさん。
「えぇと、ロミオ君もいいところあるから。ね?」
「……まぁ、間違っていませんが」
「とほほ……」
落ち込むロミオさんを
慰めるティナさんと、トドメをさすスノウさん。
「ならば始めるか。抜けよ、剣を」
そう言って朔夜さんは愛刀『
「いいわ!」
対するペルさんは腰から魔具を抜いた。
それは柄だけだったが、
水が鍔から噴出し、やがてそれが形となる。
美しく、透明に近い刃が生成された。
「私は『
その言葉に朔夜さんが応ずる。
「『妙夜月閃流』朔夜だ」
空気が。いや時が止まるような感じだ。
誰の号もないその戦い。
二人は同時に駆けだした。
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読んでいただけてありがとうございます(˘•̥⧿•̥˘ )
『
この二つ名、大好きです。
えぇ、私も厨二病ですから。
詳しくはずーーーーっと後に出ますが、
他の四元素の名前もちゃんとあります。
差し支えないので先出ししちゃいますね!
『
『
『
わー、遊戯王みたい!(小並感)
てなわけで!
また次話にてお会いいたしましょう!
ありがとうございました!!
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