探偵は膨らんで推理する

寝袋男

プロローグ

「この人、探偵だけど。」

全員の視線が僕に刺さる。

言った当人はしれーっとした様子で雑誌のクロスワードパズルに視線を落としている。彼女の声は無表情だ。否、声も、かも。

しかし僕は知っている。彼女がそのポーカーフェイスの下で三日月の様に微笑みを湛えて居ることを。

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