第一章:jacta est alea.

1

『どんなに相手を想った善意だとしても、それは悪に成り得る byアレン・ワルツ』




 その姿はハッキリとしなかったが、闇を凝縮したかのような形姿と纏ったオーラのようなモノは禍々しい。見上げる程に大きいそれは言うまでもなく、人ならざる者だった。

 辺りは広々とした謁見の間のような場所だったが、至る所に戦闘の痕が深々と刻まれている。それを見るだけでどれだけ激しい戦いが繰り広げられたのか想像出来るほどだ。

 でも私は気が付いてしまった。禍々しき存在の前に倒れる人影を……。服装は違えどその姿を私は知っている。

 それは――アンセル。アンセル・タイムだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る