報い
アノートは小国であり、あまり軍事力は有していない。
もし戦争が起こった際にはカルバドリアからの援軍が送られる。
しかしアルバートは今回援軍の要請を行わなかった、
理由は高々2,000人程度と侮っていたから、二つ目はカルバドリアにこれ以上弱みを握らせたくなかったから。
もしこちらが不利になるような法など援軍を理由に建てられてしまえばそれはどうこうすることもできない。
その事からカルバドリアへの援軍を要請しなかった。
アノートの兵は約一万その兵を用いてエルフの軍勢を迎え撃つ。
★
「見つかったか」
「ですかね、でも兵の準備にはまだ時間がかかるでしょう」
「そうか、そういえばバートル民間人はどうするんだ」
「ウォルター、以前に説明されたでしょう。抵抗するなら殺し降伏するなら労働力として生かすと」
「ああ、そうだったな。忘れていた」
「話も終わりにして、そろそろ城門ですね、突破しますよ」
「ああ、分かっている」
その言葉と同時に城門に向かって走り出す。
「矢を放て!奴等を城に入れるな!」
城壁に上り弓を構えていた兵士が叫ぶ。
多くの弓矢がエルフ達へと飛ぶ。
「全く、こんなもので我々が止まると思っているのか」
バートルが指を鳴らすと後ろに居るエルフ達が一斉に魔法を唱え結界を作り出す。
「結界が破れない!」
「クソ、エルフ如きに」
「魔法だ、魔法兵を呼んで来い。矢じゃ無理だ!」
悪態をつきながら仕方なく矢を放つ兵たちだったが、魔法で作られた結界を破ることはできなかった。
そしてそのまま城門へと突撃する。
「入りやすいようにしてやるよ」
ウォルターがそう言うと城門を魔法で破壊する。
「【爆っ子】」
「皆、行け!突撃だ!」
ウォルタ―が門と門に居る兵を魔法を吹き飛ばし、邪魔が無くなったエルフ達はそこを目掛けて一直線で走って行く。
「何だ、城門が、エルフが来るぞ!」
「怯むな!持ちこたえろ」
だがその言葉は最後まで続かなかった。
★
そしてエルフの侵入を許してかてから数十分が経った。
言葉は断末魔となり、肉が裂ける音が後に残る。
「ここからは市街地戦だ!五人一組となり、制圧しろ!」
バートルがそう指示を出すとエルフ達は五人一組となり、周りの兵を切り捨てていく。
「流石だな、バートル」
「君こそだウォルター、それで私達は城内を制圧する一緒に来てくれ」
「ああ、勿論」
二人は共に城へと目指す。
★
アルバートは焦っていた。
「ど、どういうことだ!何故、高々2,000人程度のエルフに兵士達がやられている!」
城の上から地獄絵図と化している街を見下ろしながらアルバートは叫んでいる。
統率の取れたエルフと作戦も無く殲滅をしようと動く兵士達、結果は火を見るより明らかだった。
「王よ、指示を、このままでは」
「うるさい!そんなこと分かっておるわ!」
アルバートは近くにあった物を投げつける。
「……どうしましょうか」
側近は思案する。今の状況を打開するためにはどうすればいいかを考える。
「やはり、援軍を……」
「遅い、今更だ。それより……これには頼りたくなかったが」
「まさか、勇者をお呼びになるのですか?それはノアールに大恩を売るという事になりますよ」
「分かっている、だがこのまま何もせず終われるか!」
「ですが」
「うるさい!俺の決心が変わる前に速く通信魔法の魔道具を持ってこい」
「は、はい」
側近の男は急いで魔道具を取りに行った。
「持ちこたえてくれ、愛すべき民たちよ」
そうアルバートはつぶやくと側近は城の地下へと降りていった。
★
アノートをエルフ達は制圧していく。
「ひっぐ、ひっぐ……お母ちゃん、お父ちゃん」
一人の幼い子が泣いている。
「君、もう大丈夫だ。ほらこっちに」
一人の兵士が子供を安全な場所に連れだそうとすると、
「え?」
その子供に首を掻っ切られ鮮血をまき散らしながら倒れた。
「はっはー騙されてやんの!」
血を振り払いながら子供だった者は姿を変えた。
そして突然振り向き後ろからやってきた兵士の方を向いた。
「卑怯な、許さんぞ略奪者め!」
「は、何言ってんだよ。お前らだって似たようなもんだろ」
「何!」
「お前らが奪った命がどれだけあると思ってやがる。どれだけの同族がお前らを恐怖したと思う……報いを受けてくれよ、今ここで」
「私達はやっていない、少なくともこの国の国民はしていないだろう」
「だからどうした。やったのは人間だ。分かるだろこの怒り、俺達とお前達は結局同じ目で敵を見てる」
「もういい、その減らず口を首ごと切り落としてやる」
しびれを切らした兵士はエルフに剣を向け走り出した。
その首に向かって剣を振るったが、次に見えたのは一面の黒だった。
「目が、俺の目がー!」
兵士は目を抑えながら地面をのたうち回る。
「楽に死ねると思うなよ。これが俺たちエルフが受けた痛みだ」
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