僕の周りの勝負師は僕をいじめる

@kokoro0707

第1話 初対面で馬鹿呼ばわりされるのだけど・・・

 今日は4月14日の金曜日、時間は放課後。僕は完全週休2日の学校に通っている。つまり明日と明後日は土曜日、日曜日で休みである。

 僕だけでなく普通の極普通の学生ならテンションが高くなる時間帯であろう。


 だが僕はテンションが上がらない。かなり低いテンションだ。休みが嫌な訳ではなくかなり休みが好きである。しかし僕が何故こんなにテンション低い理由。それは。

理事長に呼ばれている。いや、正確に言えば呼び出されている。


 高校生活を送っていて、先生に呼び出される事は多々あると思う。だが理事長に呼び出される事なんてほぼありえないだろう。そのありえない事が起きている。しかも、今日が初めてではない事を言っておこう。


 高校生活も2年目。去年は何十回……いや、百回も超えていたかもしれない。百回は言い過ぎかもしれないが心情的にはそれぐらいだ。呼び出される理由が何か悪い事をした等きちんとした理由があるならばいいのだが(それも実際嫌だけど)僕を呼び出す理由がただ単に暇だから。僕の事がかなりお気に入りらしい。それだけの理由で僕を呼びつける。職権乱用も甚だしい。


 はぁー、本当に嫌だ。理事長は苦手だ。廊下を歩く僕の足取りは重い。だが逃げる訳にはいかない。逃げたらもっと恐ろしい事が起きる。いつもの歩くスピードの半分以下だが、どんなゆっくり廊下を歩き多少遠回りしても目的地――理事長室に到着してしまった。

 

 はぁー。本日何度目か分からないため息をつき、僕はドアを2度ノックした。ドアの向こう側から「どうぞ」と言う聞き慣れた声が聞こえた。


「失礼します」


 僕は理事長室と言う悪魔の巣窟に入って行った。もう見慣れた部屋だ。職員室よりも見慣れた部屋だ。大きいテレビ、大きいソファー、大きい机。この部屋の物は無駄に大きい。この部屋もかなりの広さがあるが、その広さに負けていない。


「久しぶりね」


 いかにも高級ですみたいな感じの椅子に座りながら理事長は僕を見た。


 この大きい物がいっぱいある部屋だと小さく見える理事長だが、実際かなり高身長。そしてスタイルはかなりいい。大きすぎずかといって小さすぎず男の理想ぐらいの大きさの胸。いわゆるモデル体系だ。そして黒髪ストレートでシャンプーなどのコマーシャルに出られるぐらい艶がありさらさらである。ここの生徒達の間では本当に美人と評判だ。美人でスタイルが良いが声はかなり幼い感じだ。そのギャップもまたいいと男子生徒にも人気だが、女子生徒からの人気がかなり高い。ファンクラブまであると云う噂もある。


「久しぶりって一昨日も会ったでしょ」


 去年に初めて会った日から僕はこの人に敬語を使う事を止めた。この人に敬語を使うのは例えるなら犬に「お手をして下さい」と命令するのと同じ感じで何か違和感がある。


「犬じゃなく猫と言って欲しいわ」

「僕の心の中を読むな。それとその指摘の意味が分からない」


 本当にこの人は苦手だ。冗談ではなく僕の心――考えている事を読む。実際心の中を読んでいるのではなく、僕の性格、仕草を詳しく観察して今何を考えているのかが分かるらしい。勝負師として普通の能力らしい。

 

 これだけ聞くと難しそうだがよく言われる、つう、かあの仲。夫婦間では言葉がなくても相手の考えている事が分かるとよく言う。違う例えだと子どもが甘い美味しそうな食べ物を前にして指を銜えてそのお菓子を見つめていたら、誰でもその子どもが考えている事、つまりそのお菓子が欲しいという事は簡単に理解できる。そのような事をこの理事長を誰であってもできるらしい。


「そんな事ないわ。少しは相手の性格とか知らないとできないわね。とある委員長さん風に言うと、誰でもはできないわ。知っている人だけよね」

「なら、僕は吸血鬼とかですか?」

「それに久しぶりじゃないと言うけど、私にとっては一日会わないだけで、ほんと寂しいのよ」


 うん。これだけ聞くと何だか僕はこの人にかなり愛されているように見えるが実際は違う。絶対この後に続く言葉がある。


「梶野くんを一日でも苛めないと調子が出ないのよね」


 これだ。黒髪ストレートでスタイル抜群。アニメや漫画やライトノベルならSキャラであろう。そしてこの人もそうである。Sだ。ドSだ。今までのキャラと違うのは声だけはかなり幼い声だという事であろうか。幼女に罵倒されているみたいな感じになる。

 

 もし僕がMならばかなりの御褒美になるのであろうが残念ながら僕はノーマルだ。……ごめん、少し見栄張った。僕もどちらかと言うとSである。Sと言っても、相手を肉体的に虐めたい訳でない。少し女の子を困らせるのが好きなのである。でもこれは誰でも持っている感情ではないのかと最近では思う。可愛い女の子を少し困らせるのって楽しいと思うのだが。


「変態だね~」

「あんたに言われたくねえよ」


 この人の方がかなりの変態である。何故僕がこの人に気に入られているのか理由の一つ。僕がSであるという事にあるらしい。Mを苛めても面白くない。Sキャラを苛めるからかなり萌えるのよ。過去にそう言っていた。


「ねぇー梶野くん。それでいつここでトイレしてくれるの? さっきからワクワクしているのよ。もしかして焦らしプレイなの? もうSなんだから」

「何の話だ? 僕がここでトイレするような変態だと思っているのか!」

「えっ!? しないの?」

「何故そんな意外な顔をする?」

「だってさっきドアを2回ノックして入って来たわよね?」

 

 あんまりノックの回数を気にして入っていないので確実な事は言えないが、確かに2回だった気がする。


「ノックの回数って意味があるのよ。2回だとトイレに入る時に使うのよ。だから私の部屋でトイレするのかと思って楽しみだったのに」

「するか!!」


 この人の思考回路どうなっているのだろうか。


「もう期待させといてがっかりだわ。まさかノックの回数に意味があると知らないなんてバカ過ぎるわ。」


 本気でがっかりしている。自分の部屋でして欲しいとかどんだけ変態なんだ。そしてバカ呼ばわり。


「すいませんでした。これから気をつけます。これからは2回ではなく3回ノックします」

「えっ!? 私の事を恋人だと思っているの? 悪いけどあなたの事は好きじゃないわ。ごめんなさい」

「そんな事はこれぽっちも思ってない」


 そしてどうでもいいが、本当にどうでもいいが何故僕が振られた事になっている? そして多少なりその事にショックを受けているのは何故だ? 


「じぁあ、まさか夫婦だと思っているのね。それなら仕方ないわ。いいわ。私の苗字は今から梶野ね」

「恋人は断ったくせに何故夫婦ならいいんだよ。意味が分からないぞ」 

 だから何故僕は少しよろこんでいるのだ。こんな感情いらん。

「う~ん。よく言うでしょ? 友達は嫌だけど、奴隷ならいいわよって」

「言うか!」

「夫婦と書いてどれいと読む」

「嫌だ。絶対にそんな関係嫌だ」

「でも、ノック3回は恋人や夫婦の部屋に入る時にする回数よ」


 誰だよ、ノックの回数に意味を作った奴。面倒だろう。そして何回が正解なんだよ。


「4回が正解よ。仕事先や人の家に訪ねるときは4回が正解。もっと正確に言えば4回×2が正解ね」


 8回もノックして入らないといけないかよ。本気で誰が考えた。


「ただ、実際4回もノックされたら怒るけどね。やりすぎでしょ」

「じぁあどうすればいいんだよ!?」

 

 正解が無かった。僕は次からどうすればいいのだろう。


「日本は2回か3回が正解よ。海外だと本当に意味があるけど、日本で4回もノックしたら逆に非常識だと思われる可能性もあるわ」

「だったら最初の僕の2回で正解だろ! 今までのやり取り無駄だろ」

 

 しかもバカ呼ばわりまでされたし。この理事長は僕で遊んでいる。いつもそうだ。


「それで梶野くん。何しに来たの?」

「あんたに呼び出されたんだ!」


 呼び出しといてこれは酷すぎるだろう。


「う~ん。やっぱり梶野くんを苛めるのは楽しいわね」


 この人本当に僕を虐めるのが好き過ぎるだろ。


「勘違いしなでよね。梶野くんだけ苛めたいんじゃないんだからね。機会があれば全校生徒を苛めたいと思っているんだからね」

「ツンデレにかこつけて、酷すぎるだろ。お前一応この高校の理事長だろ!」

 

 こいつ……本当に駄目だ。こんな奴が学校を作っていいのだろうか?


「でも、梶野くんは勘違いしているわよ。私だってやさしさがあるわよ」

「どこにある?」


 素で聞いた。いや、マジでやさしさのやの字もないだろう。


「いや、私が「いじめる」と言う言葉を使う時、「虐める」じゃなくて「苛める」と言う言葉を使っているのよ。私的に「虐める」より「苛める」という漢字の方がやさしい感じがするのよ。ほら私やさしいでしょ」

 

 置いてあったホワイトボードに「いじめる」と言う言葉をいっぱい書いて説明した。いや、言いたい事は分かる。「虐める」より「苛める」の方が嫌な感じはしない。そして僕自身「虐める」だと思っていたが……だから何? この世界が小説ならそのやさしさは読者等に伝わるのかも知れない。(ただ読みにくいだけの可能性の方が高いかも知れないけど)だが、現実世界は目で相手の言葉を見ているのでなく、耳で聞いているだけである。なので理事長のやさしさは誰にも伝わらない。


「でも、私のこの天使のようなやさしさ、中々伝わらないのよね」

「でしょうね」


 相手が言った言葉はどんな漢字だと考える人はいない。いたとしてもその正解が分かるはずもない。


「よ~し、生徒全員苛めるわよ」

「止めろ。可哀想だろ」


 この人は本気でやる。僕がここで止めないと。実際本気で一度やった事がある。僕がこの人の呼び出しから逃げ出した時にした。


 学生全員が嫌がる事。それはテスト。テストをしやがった。しかも抜き打ちテストならまだいい。3日前にテストすると宣言して行った。中間でも期末でもないテスト。だが成績にかなり影響すると言うテスト。


 ここまで聞くと抜き打ちじゃないだけありがたいじゃんと考える人がいるかも知れない。だが、生徒にしてはこれほど嫌な事はない。テスト3日前からテスト勉強しないといけなくなる。3日間毎日テスト勉強しないといけないという思いで過ごす。テレビを見ている時、本を読んでいる時など何をしていてもテストが頭を過ぎる。最悪だ。これが中間テスト、期末テストならしょうがないと思う事もできるが、予想外のテスト。しかし何度もいうが成績にはかなり反映される。最悪だ。学生を経験した人ならテスト3日前のあの辛さ分かるはずだ。


 そしてこれだけならまだ許せる。この理事長が普通のSじゃなくドSである。テスト当日。生徒全員まあまあ偏差値が高い高校なだけあり、みんな真面目にテスト勉強をしていて、準備満タン。そんな当日、あろうことかテスト日を延長しやがった。なんか手続き上の問題で明日に変更しますとか言っていた。(これは確実に嘘であろう。そもそもテストにどんな手続きが必要なんだよ)つまり、本当だったらテストが終わり、今日はゆっくり寝むれる~と思っていたのに延期になり、またその日の夜もまたテスト勉強しないといけない気分にさせられる、辛すぎる。そしてこれを5回ほどやった後、生徒みんなが「どうせ今日も延長だろ」とちょうど思う頃、テスト本番。本気で勘弁して欲しかった。


 こんな酷い事をしていたのに、許されているのはこの理事長のすごさだろう。実際、何も悪い事をしていない。テストをやろうとしたがトラブルがありテスト延長。やった事はこれだけである。テスト直前、全員が一度は思う事だろう。テストが今日じゃなく明日ならいいのに。それを実際にやっただけだ。しかも、それを僕が呼び出しから逃げ出したからやったのである。本当に生徒全員に土下座して謝りたかった。


「今度はマラソン大会でもやろうかしらね。しかもテストの点数に合わせて距離が変わるの。テストの点数が高ければ高いほど、走る距離が増えるのよ。テスト勉強頑張れば、頑張るほど、マラソンがきつくなる。走る距離が増える。どう? 頑張れば頑張るほど不幸になると言うこの行事!」 

「あの、本当に止めて上げて下さい」


 思わず敬語で頭を下げた。本気で止めて欲しい。


コンコンコン


 暫く理事長と話していると(正確に言うと虐められていたら)ドアをノックする音が聞こえた。


「あ~。やっと来たわね」

 そう言って「どうぞ」と言った。

「失礼します」


 そう言いながら一人の女子生徒が入ってきた。制服のリボンの色を見ると、同学年だという事は分かる。だが知らない。会った事ない。同学年を全員知っている訳じゃないし、知らない人がいてもおかしくはない。でも……この女子生徒の外見。かなり目立つ。美人すぎる。


 認めたくないが、この理事長だって美人だ。だがその理事長と比べても遜色ない。いやこの女子生徒の方が僕はいいと思う。髪は肩より少し長いぐらい。目も鼻も口も小さく整っている。可愛い以外の感想は出てこない。それぐらい魅力がある。そしてなんかやさしいオーラがある。これが一番この理事長より僕がいいと思う一つだろう。なんか少し困らせたい。


「梶野くん。どうせこの女子生徒――月影ちゃんと言うのだけどね。可愛いとか美人とか困らせたいと思っているんでしょ」

「はーぁ? な、何を言っている? ばかだな。初対面の女子を困らせたいなんて言う変態みたいな事思っている訳ないだろ」


 本当に心を読むのは止めて欲しい。


 すっと、女子生徒――月影さんと言うのか。月影さんが近づいて来た。顔が近い。近くで見ると目もぱっちりしていてすいこまれると思うぐらいに綺麗で肌もとても艶々ではりがありどきどきする。そんな神が特別扱いをして作ったのか言うぐらいの月影さんは僕に向けて言葉を放った。


「あなた変態なのね。変態で馬鹿なのね」

「…………」


 びっくりして言葉が出なかった。注意しておこう。本当にこの月影はやさしそうなオーラが出ている。ただ実際あんまり表情がある訳でなくクールと言った感じなのだがそれでも子どもにとてもやさしくすぐ仲良くなれる雰囲気があるのだがそんな女の子から初めての言葉がこれだ。


「月影と言ったか? 初対面の人にそんな酷い事言われる筋合いはないのだけど」


 酷いことを言われ、少しカチンときている僕は呼び捨てにした。


「あら? でも、変態で馬鹿なあなたにはお似合いだと思うわ。あなたに会ったらその言葉しか出ないから私が悪い訳ではないわよ」


 この女酷すぎる。悪いと思ってない。そしてこの女の声がきつい。まだ、理事長は幼く可愛い声だからまだ心が折れないが、この女の声確かによく通る綺麗な声だが、冷たい感じを受けこの声で罵倒されると心が折れそうだ。この女も声と印象が合ってない。月影と理事長の声交換した方がいいんじゃないのか? もしアニメだったら、絶対視聴者のみんなから声優が合ってないと言われる事間違いない。


「月影。百歩……いや、一億歩ぐらい譲って変態は許そう。だが、馬鹿かどうかは絶対に分からないだろう」


 変態は仕方ない。初対面の女を困らせたいと一瞬でも思ってしまったのだからそれは言われても仕方ない。だが、馬鹿と言われる筋合いはない。皆無だ。


「確かにそうね。想像というか、見た目で馬鹿だと感じてしまったのだけど、あなたが本当に馬鹿だとは断定できないわね」


 素直でびっくりした。こいつ意外に根はいい人なのかも知れない。

 よ~く聞くと見た目が馬鹿だと言われたのだが、それは気づかなかった。


「それで馬鹿じゃなくて大馬鹿で変態さんはここで何をしているの?」

「馬鹿度が上がった!?」

「いや、私も反省したのよ。あなたは多分馬鹿ではないわ。大馬鹿よ」

 

 なんで僕は初対面の女子にそこまで言われなくてはならない。


「あのなー、僕は意外に成績良い方なんだぞ。この間の模試だってまあまあの成績を出した」

「へーそう。私はこの間の模試全国16位だったけど、あなたは何位だったのかしら?」

「…………馬鹿でいいです」

「なんであなたは自分を高く評価しているのかしら? 大馬鹿と言っているのよ」

「はい。もういいです。僕は大馬鹿です」


 勝ち目がない。全国16位。なんかリアルで嫌だ。そして僕は泣きそうである。


「月影ちゃん!」


 理事長が真剣な顔しながら月影に言った。


「その調子よ。もっと梶野くんを苛めなさい」

「はい。もちろんです」

「お前等は鬼か!?」


 もう嫌だ。僕が何をした? この二人性格そっくりだ。親子か何か?


「梶野くん。もしかして。万が一。いや、億が一だけども月影ちゃんと私が親子だと考えたかしら? そんな訳ないわよね。私に高校生の子どもがいるなんて考えた訳じゃないわよね。こんな若く美人な理事長に高校生の子どもがいるなんて思ってないわよね」


 怖い。顔が笑ってない。いや、正確に言えば顔はニコニコしているが、心は全く笑ってない。殺される、本気でそう思った。


「いえ……そんな事思っていません。ええ。年の近い姉妹かな~と思いました」

「あらそう。ならいいわ。でもそれ外れよ。私と月影ちゃんは全く関係ないわ。赤の他人よ」


 こんな性格似ているのに(主に僕を虐める態度とか)親戚とかでもないのか。こんな人が何人もいると思うと嫌になる。


「でもならこいつは誰なんだよ? 普通の人ではないよな」

「紹介するわ。私の高校に転入する月影一香ちゃん。梶野くんのクラスに入ることになったからよろしくね」


 よろしくって……心から願う、嫌だ。今まではこの理事長室に来なければ虐められる事はなかったのに、これからはクラスでもこんな扱いになるのか。この理事長、ただ単に僕が困るって理由で月影を僕と同じクラスにしたに違いない。本当に僕の嫌がる事が好き人だ。


「それで、理事長さん。私をここに呼んだ理由は何ですか? まさかこの馬鹿な男を紹介するためですか?」

「お前、僕に対して普通に馬鹿と言うな」

「間違えたわ。大馬鹿だったわね」

「ごめんなさい。せめて馬鹿にして下さい」

「馬鹿にしてくれって頼まれても、少し引くわ」

「馬鹿にしてくれって頼んだ訳じゃない! 大馬鹿と呼ぶくらいなら馬鹿と呼んでくれと言ったんだ」


 それもそれで悲しいが……。同級生に馬鹿と呼んでくれと頼むのもかなり悲しくなる。


「それで、さっきから全く話が進んでいないのですけど、ここに私を呼んだ理由を聞きたいのです」

 話が進んでいないのはお前のせいだけどね。と思ったが心の中に閉まった。

「そこの梶野くんとゲームして欲しいのよ」

 また始まった。この理事長のゲーム好き。また巻き込まれるのか。




 

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