第8話

 静かな小雨が降り続ける中。

 

 カラスの鳴き声が木霊している荒れ果てた小道をひたすら三人で歩いた。その小道が前は手入れをされた畑だったとわかると、俺たちは無言になりだした。


「あれ? 日台さん。どうせなら、あの廃病院から行きましょうよ。日台さんはあっちの神社へ行こうとしているんじゃないかと思うんですが……やっぱり心霊スポットの定番は、ぼくはどちらかというとあの廃病院かと思うんですよ」


 後ろを歩く鈴木がスマホでどこかへ電話をしながら、こちらに目線を向けた。丁度、この小道を右に曲がると廃病院は近かった。


「あれ? スマホが繋がらなくなった……あ! あれあれ!! 人が!! イィッ!」


 途端に、鈴木が廃病院の方を指差して、奇妙な声を上げた。しばらく口をパクパクさせて硬直する。


「うーん。こっちも、電話は繋がらなくなったよ」


 日台がいぶかりながら廃病院の方へ向くが、一瞬で顔全体が信じられないほど青白くなった。


 驚いた俺もその目線の方を向くと……。


 廃病院の二階の窓際に、一人の女性が立っている。

 白衣を着ていて、黒い髪の前髪が二階の窓から下の地面へとたどり着くほど長かった。きっと、後ろ髪もそうなんだろうなと思考が停止したはずの頭で俺はふと思った。

 

  窓際から首が地面へと……ボトリと落ちてしまった。


 

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