第2話

 中学時代から変わっていないかのようなたどたどしい文字だった。手紙を書いている時に、はしゃいでしまっているのか、所々紙面から文字がはみ出ている。


 大きな字だから、大きなペンを使ったんだろうな。


 懐かしさで一郎くんが今はどうなっているのかは、吹き飛んでしまった。確かに夏に不思議と水かさが増す川で溺れて……。


 大人たちが「死んじまったよ」といって泣いていた顔を今でも覚えている。 


 よく見ると、手紙には紙面の端に何か書かれている。


 誰かの名前だった。

 それもよく知っている名前だ。


 文字の端が紙面から飛び出て判読しにくかったが……。

 でも、……何故か弘子という名前だと読みとれる。

 

 一郎くんがことのほかはしゃいで書いたのだろう。元気いっぱいに大きなペンで書かれた弘子という名前は他の字よりも数段大きかった。


 綺麗な女の人だね。その人もこっちへ来ているんだ。ねえ、遊ぼうよ。きっと絶対楽しいよ。と、書かれていた。


 手紙は突然に終わった。


 ぼくたちはツギハギだらけだけどね……。

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