清潔な幻滅

ツマモヨコ

清潔な幻滅

ホログラム入りの信仰 花野ってわざわざ向かう場所じゃなかった


キンと鳴くファスナーだった遺伝子のほんとに遠いひとのパーカー


尊敬とあなたを呼べばパチモンの恋をひらいて整形できる


純潔は密度だと教わってなおガクアジサイに指をさしこむ


だって木の絵には(カウンセリングルームには)あなたがいなかったから


肉薄をしてしまうとき眼前でたなびいている嘘の生ハム


黙食のためにあなたが用意した映画はぜんぶぜんぶださかった


たくさんのよくわからないネックレスどう足掻いても愛は装飾


問う側が有利な野原に立っていた ありがとう色んな質問を


泣き喚くほどのYesなのだろうYesだろうでもボウガンに似ている


枝豆のぬめりがわたしにもあってそれ自体清潔な幻滅


お団子を結えば蕾に似てしまう拒めば済んだことの少なさ


二で割ると茹で肉のにおい あきらめて知らない街に行けばよかった


笑うなら笑えばいいと思うとき粉を吹く細胞のそれぞれ


心臓にストッキングが巻きついてどこまでも均一な号哭


争いが初期アイコンになっていく下の名前でばっかり喋る


ヒトカラが死と隣り合わせであることをほんとうに笑ってほしくなかった


支配とは〈かもしれなかった人生〉に閉じ込めること 摘まれっぱなし


かぴかぴのしゃもじを撫でて夢までのわずかを寡婦として生きるのか


笑われる前に笑えば喜んでくれたひとりで花野に向かう

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