第99話砂

アバ視点


「警備?」


「ああ。指名手配犯が何故か抵抗もなく捕まって怪しいから、ここの警備から離れてその指名手配犯の監視を頼まれた」


「そうか」


「お前も来い」


「はぁ!なんで私が!」


驚きの余り声が出る


「暇だろ」


「人集めるから暇じゃない」


手をシッシっと振りながら帰ろうとする


「副マス倒す時に手伝ってやるから」


「早くそれを言え。可能な限り手伝ってやるよ」


アバは現金な女だった




暗い建物の中を進んで行く


「暗くない?」


「壁を硬くしてたら光が通らなくなったらしいぞ。松明も危ないから使えない。魔法は脱走に利用される可能性があるから使えない」


「バカだな」


暗がりを進み続けると、一つの部屋に辿り着いた


「おつかれ」


「お疲れ様です。この中に指名手配犯が収容されています」


「暴れたりは?」


「していません。しかし災害生物2体を使い魔として従えています。それと呪いの装備と武器で固められていて、武装を解除出来ていません」


「・・・なんで抵抗しないんだ?」


「分かりません」


「まあいい。交代だ」


「ハ」


部屋の扉の前の門番と交代し、そこに座る


「はぁ」


「・・・」


(なんか聞いたことがある。特徴だな、呪いの武器に災害生物、、うーん)




数十分後


「ス―ス―」


「起きろ」


パン


「・・・」


「指名手配犯を移動させる」


「ふぁー、分かった」


寝息を立ててよく眠れていたが、叩き起こされてしまった


「俺が開けるから騎士団の皆さんは少し距離を取って、警戒していて下さい」


「分かりました」


数十人の騎士団に囲まれながら扉が開くのを待つ


「開けますよ」


「・・・」


騎士団が緊張しているのが肌で分かる


ガチャっと音を立てながら扉を開ける


「飯貰える?」


「早く出てこい」


凄く聞き覚えのある声が聞こえる


「セレス行くぞ」


「・・・」


「どこ行くんですか?」


「王の所にだ」


「礼儀作法知らないですけど」


「早く歩け」


指名手配犯が牢屋から出てくる


(マスターやん。なんでここに?)


声に出そうになったが、カジキが何故か一切反応してないことをおかしいと感じ取り


作戦か何かと考え無言を貫いた


バキバキバキっと音を立てながら小さい子がどんどん大きくなる


(あ!マスターの近くにいた暴食姫やん!)


「お腹空いた」


「行く前に飯くれよ。これじゃあセレスが空腹で人食べちゃう」


「・・・少し待て。ここから出たら王に聞く」


「管理職の人は大変ですね」


(なんか兜に虫と人のハーフみたいな奴が引っ付いてる)


「早く歩いて貰えます?」


「うるさいぞ」


「というかなんでここ、こんなに暗いんですか?」


「私語は慎め」


「・・・・右かな」


「私語は慎めと今言っただろう」


「次は左で、そのまま真っすぐ行けば砂漠の秘宝がある神殿に行けるぞ」


騎士団とカジキにマズイと感情が溢れだすのを感じる


「どういうことだ!お前!」


「残念。私は指名手配犯じゃないし、人でもない」


パラパラっとマスターだった者が砂に変わる


「伝言だ。セレス、ヤド適当に暴れとけ。いい報告待ってるよ」


「クソ!早く王に伝えろ今のことを!」


「それは出来ない」


【暴食姫】がカジキの肩を掴み、殴る


「グ!」


カジキは牢屋の扉まで吹っ飛ぶ


「全員外に走って情報を伝えろ!ここを脱出しろ!」


隊長と思われる騎士が兵を激励する


「セレスちゃん頑張って下さいね」


「分かってる」


(とりあえず【隠れローブ】使ってカジキの所に行くか)


スキル【隠れローブ】を使い牢屋のカジキの所まで足を進めた


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