短編《桜》
よつ葉
春を言祝ぐ
春はきっと水が温むところから始まる。雪が溶け、雪間から柔らかに草が青む。光と風につられて天道虫がどこからともなく飛んで来る。枝先を紅色に染めた蕾がほどけて、花びらが開く。花ひらく音さえも聞き逃さないように私たちは桜を仰ぎ、春を言祝ぐ。それは言葉が生まれる以前から私たちの中にあった気持ちに違いなかった。温んだ風が吹く、花びらが舞う、陽だまりは暖かく、小草が萌え、君が笑う。この幸いを喜ぶことが、きっと春の言祝ぎの始まりなのだ。
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