スローライフなランダムダンジョンを進みながらVtuberで紹介しよう、この漫画がお勧めだって!
ぴこたんすたー
第1話 五等分の花嫁(ラブコメ)
皆さま、こんにちは。
本日付けにより、訳ありで繁華街にあった、入る度に構造が変化する『書籍館』と呼ばれたダンジョンの地下へと潜ることにしました。
世の中何が起こるか分かりません。
スマホ片手に動画撮影も一緒にです。
「あー、やってらんね」
さて、ライトも入らない明るい地下一階に降りてみた所、きしょい男の子の叫びが聞こえてきましたが……。
「あー、それにだりーな。学校行きたくねえ。でも購買の焼肉なし定食を食わないと力でねえな」
「そうそう、焼肉がないけど味噌汁と漬け物がセットでついてくるヤツですよね」
男の子はお腹を空かせているようなので、私はお財布から何かを取り出したものの、出てきたのは使用期限の切れた食券でした。
「誰だ、お前は?」
「ええ、申し遅れました。私は皆さんにお勧めの漫画を紹介するというこのコーナー担当の
「俺はしがない男の
早速、意外にも明るくて陽気な東大君は、このコーナーのメンバーに入れられないかと思う中、決定的なスクープをゲットしました。
彼はこのダンジョンでのお宝をゲットしていて、例のカラフルな
「ところで東大君は五等分の花嫁を読んでましたよね?」
「まあな。この漫画は二千万部も売れた大人気のラブコメなんだぜ」
「知ってます。読者が一番好きなラブコメでナンバーワンになるほどですよね」
「今までのラブコメの常識を越えた作品だったからな。
東大君が『ごとはな』について熱く語り出したので、私もお仕事モードに入ろうかと思います。
「そうそう。先生といえばこの漫画の主人公である
「パン屋を経営してた母親が亡くなって、一気に貧乏暮らしになったヤツだろ。そして父親が一人で二人の子供を育てたっていうヤツ……苦労してきたんだな、親父!」
まさに赤い水性インクのジャワのような『親父にも叱られたことないのにー‼』を思い浮かべますが、この物語の風太郎は実に親思いであり、一味違いますよ。
「そんな五等分の花嫁の魅力といえば、富豪家の父親、マルオに育てられた
「まずその姉妹が五つ子という設定がぶっ飛んでるけどな」
双子ならよくあるお話に捉えがちですが、この漫画は五つ子と飛び抜けた登場。
その異例なセンスをひけらかすかのように序盤から絡んでくる五人の姉妹。
しかも全員文句も言えない美少女の五つ子ときたものです。
「風太郎の妹、らいはちゃんが卵を割ったら五つ子の卵だったという部分もですよね」
「そのあり得ない要素にミステリー要素も含まれてる部分も斬新だよな」
「ですね。五つ子という見た目が同じという状況を武器に様々な場所で五つ子の変装をしますから」
ただのラブコメとは違い、随所にトリックを仕込んでくる器用な姉妹たち。
時に別の姉妹になりすます行為は風太郎じゃなくても分かりにくい難問。
例え、東大生を目指してる東大倉島君でも謎に包まれたままでしょう。
「長女の
「それに比べて次女の
「ああ、最初は風太郎を邪険にして追っ払ってたからな」
「飲み物に睡眠薬を入れてさようならですもんね。医者の父親から貰ったのでしょうか?」
「懸命に五つ子を守ろうとしたマルオらしいな」
マルオという父親は一見無愛想で、誰よりも娘を思う気持ちが伝わってきますよね。
「風太郎君、君に娘はやれないよのシーンからですよね」
「絵面からして、ガチで怖い父親だよな。あんなに冷酷な医者もいるもんだなって」
冷酷、残忍、戦闘マシーン。
人の命を預かる医者は情に流されては職務を全う出来ない。
マルオは父として、最後まで娘たちの味方でした。
「冷酷と言えば風太郎も非行少年だった時がありましたよね」
「髪の毛染めてピアスして夜遊びだろ。今のガリ勉君とは想像できないな」
子供の頃にやんちゃだった子は大人になると真面目になるという噂をよく耳にします。
人の痛みを知ってるからこそ、成長したら悪いことに手を染めにくいとかいう一説もありますよ。
「そんななか、街中で五つ子の一人と出会い、貧乏で生活が苦しいなら、いい大学に入って偉くなり、いい会社に勤務して親に楽な暮らしをさせようと心を改めるんですよね」
「それからその五つ子と高校で再会する。何かいい話だよな」
ラブコメでもホロリと泣ける話があるのもこの漫画のポイントなんです。
でも内容は重苦しくない青春のページのようなドラマ性。
一言で表すと爽やかというか、蒼い群像劇ですよね。
「最初は風太郎と距離を置いていた五つ子も家庭教師を通じて、心を開いていく部分も何とも言えません」
「それがこの五等分の花嫁の一番の魅力かも知れないな。五つ子の性格とか、髪型や服のセンスとかも微妙に違うし」
みな同じ顔でスタイルで血液型まで一緒なのにキャラ一人一人に個性がある。
このごとはなの人気はここから火がついたのです。
「正直、他の五つ子に変装したら誰が誰か分からないですよね」
「一番に変装が得意な
可愛くぶりっ子する二乃や、ちょっとおませな一花など、特に三玖は先ほど申した通り、変装の達人でした。
「後日に販売されたフルカラー版を見なければ、はっきりとした区別がつかないほどですよね」
発売からすぐに全巻フルカラーになったのも最早、伝説かも知れませんね。
****
「──さて、こうして長らく五等分の花嫁のお話をしてきましたが、東大君的にこの漫画の評価はどうでしょうか?」
「そうだなあ……」
東大君が私の持参のメモ帳に評価を書いています。
初めてのダンジョンでのお仕事ももうすぐ終盤です。
何か緊張しますね。
「よし、こんなもんだろ!」
五等分の花嫁
全14巻
ジャンル ラブコメ
フルカラー漫画版あり
テレビアニメ、劇場版アニメ、ゲームあり
ストーリー★★★★★
キャラクター★★★★★
演出★★★★
シリアスさ★★★
お笑い度★★★
中毒度★★★★★
お勧め度90%
「──よって万人向けのラブコメと言った所かな。あれこれ迷ってるならとにかく読んでみろと」
「はい。今回はご協力ありがとうございました! この記事はYouT○beで編集させていただきます」
評価の書かれた手帳をバッグに収め、今日の書籍館での漫画紹介が終わりました。
後はダンジョンから帰宅して、自宅でこの動画を完成させるのみです。
「おう、何だ、やけにノリがいいと思ってたら、Vチューバーだったのか。いいってことよ」
東大君は細かいことを気にしない男の子らしく、とても仕事がしやすい相手でした。
「それではまたいつか会おう‼ とおっ!」
と思いきや、私の目の前で大きく飛び上がり、どう反応していいか不明です。
「あの……その場のジャンプの意味は?」
「あくまでも演出だよ‼」
──以上、五等分の花嫁を手にしたダンジョン探索(詮索?)でした。
ここで東大君、そしてユーザーの皆様へ。
残念ながら、この単行本のアイテムはこのダンジョンの所有物ですので、地上には持ち出せません。
その点はご了承下さいませ。
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