カーテンを開けて

@NIKUUDON

深夜

 午前0時を過ぎ、灯りのないこの空間で僕はそっと目を開けた。

 何か理由があった訳では無い、ただ目を閉じていても睡魔に身を任せることが出来なかったのだ。寝ないといけないことは分かっているのにも関わらず意識が夢の中に行くことはなかったのである。

 何もせずただボーッとしていると次第にお腹が空いてきた、しかし体は動かない。両手両足に力を込めることができなかったのである。T-faLに水を入れて、沸かしたそれをカップ麺に注ぐだけの作業が酷く億劫に感じたのだ。

 きっとこの空腹を無くせば満ち足りた体はすぐにでも睡眠状態へと切り替わるだろうに、この体は意思に反して近くのスマホに手を伸ばした。

 スマートフォンの画面の明るさが瞳を刺激し脳内に信号を伝える。充電中のそれは若干の熱を持っており、真夏の夜には少々熱い。

 額に滲む汗を枕で拭き、手馴れた動作でアプリを起動する。ゲーム、漫画、動画、エロス……どれも眉一つ動かないまま一通り触っていく。感情に起伏はなく、楽しいともつまらないとも感じずただ淡々と画面を操作した。

 やがてスマホを閉じると残ったのは空腹と睡魔だった。何か口に入れるだけで寝れるだろうという確信を持ちながらも、やはりベットの上から動くことはせず瞼を閉じた。眠たいのにも関わらず寝られない現象をなんというのだろう、またスマホで検索しようと気持ちが動くが、もう体は動かない。空腹よりも知識欲よりも睡魔が打ち勝ったのだ。

 とはいえ睡魔がその他の行動を打ち破ったとしても意識が途切れるわけではない、頭の中で何かを考えようとして思考が纏まらずまた目をあける。

 暗いはずの部屋がほんのり明るく見えた。スマホで時刻を確認するともう4時を回った頃だった。

 体感時間より早いことに疑問を持ちながらも僕は立ち上がりT-faLに水を入れる。先日特売で買ったカップ麺の蓋を開け、眠い眼を擦りながら具を入れ目を閉じた。そこで僕の意識は深い微睡みへと落ちていくのであった。

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