王女様、魔法はどうですか?

りくま

第1話

「なるほどこうやってするんですね!」


 突然だが俺は魔法を教えている。その相手はなんと他国の王女なので緊張がやばい。魔法を教えるのは二人目だから、慣れてはいるが、流石に王女は......。


 

「なんか仕事ないかな」

「光属性のライトにしかできないこととか探したら?」

「光属性ねえ……」


 俺の属性は名前の通り光属性なんだよな。属性というのは魔法を行使する上で、その人が使える種類のことだ。この世界では誰もが魔法を使えて、一人一人に属性がある。生まれた時にどの属性か調べるんだ。火・水・風・岩・雷が基本の五属性で、特別な属性として闇・光がある。


 ただ、少し問題があり光属性と闇属性は使うのが難しく、光属性に至っては最初は明るくすることしかできない。もちろん、努力を積み重ねることで新しい魔法も使えるようになるんだ。それでもその努力もやり方が合わなければ全部無駄になるけどな………。


「じゃあ、ライトは学園の教師とかしたら? 教えるのも上手いし」

「教師か、してもいいけど学園の教師なんて採用試験に受かるわけないよ」

「そうかなー?」

「そうだよ」


 俺はどうしようかと思考を巡らせ、ため息をついた。学園にすら通っていない奴が受かるわけないんだよな。あ、今話してるこいつはケイク。まあ親友って奴だ。


「じゃあ家庭教師とかどう?」

「家庭教師?」

「生徒が学園の試験を受けて合格するために魔法を教える仕事だよ」

「誰でもなれるのか?」

「うん、相手から承諾して貰えば誰でもいけるみたいだよ」

「それなら、ちょっとやってみてもいいかもな」

 

 やっと希望が見えたと思い、俺は目を輝かせながら家庭教師について詳しく聞いた。


「どうやってやるんだ?」

「確かあの建物で――」


 いろいろ教えてもらいながら俺はある人の家庭教師に応募した。応募と言っても受付ですぐに承諾されて決まったけど。俺がそれを選んだのには理由がある。実はその家庭教師の依頼の理由が


『光属性の娘をなんとか学園に入学させてあげたい』


 というものだった。光属性の子を強くさせるには相当な労力が必要だ。だから誰もやろうとしない。光属性で強い人は少数だし。誰もしないならということで俺はこの依頼を受けることにした。今度はどんな子なんだろうな。できれば優しい子がいいけど。

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