神崎先輩と下校

 僕達は学校を出る前に彼女が眼鏡をかけ前髪で顔を隠していたなんでも中学の頃よくナンパにあっていたので前髪で顔を覆い隠していた。それでも僕から見たらすごく可愛い、メガネをかけている彼女は冷静な空気が漂っておりすごく知的に見える。



 そんな彼女の横で僕は歩いていた。側から見るとこれは下校デートに見えるんだと思う。そんなイケメンでもない僕が彼女の隣を歩いていいものなのかわからないが、この時間を楽しまなきゃ損だと思い楽しむ事にした。



「そういえばお互いどう呼ぶか決めとこう一応お父さんの前に出るんだし。お父さんと私同じ苗字だから、私のこと琴美って読んでよ」いや無理無理無理無理、先輩のことを名前で呼ぶなんて恥ずかしくて湯気が出そうだ、いやこれは多分僕を揶揄っているに違いない、いやでも確かに先輩のお父さんもいるけれども、どうしよう僕はどうやって呼べばいいんだろう。僕は悩んで。



「琴美先輩」僕はこれが今言える最大限配慮した名前だろう。でも僕はやられっぱなしも嫌だし彼女に無茶振りを言う事にした。



「じゃあ、琴美先輩僕の事も名前で読んで下さいよ」僕は彼女の困った顔を拝もうと彼女の顔を見る。すると彼女はニヤッとした顔で言う。



「皐月君………これでいい」それはそれはすごい破壊力で僕の顔が赤くなっていく、顔を逸らすと彼女が顔を近づけてきた。彼女の顔もほののり赤みがかかっていた気がするが彼女はそんなこと気にせずいってきた。



「どう恥ずかしい、恥ずかしいでしょ」彼女を見て僕はちょっと悔しかった。だが、彼女の煽りがとてつもなく可愛いから実質プラスである。



 そんなことを考えていると僕達は商店街の近くにいた。いい匂いがここを包んでいた、そういえば僕はクラスの奴らにボコボコにされ財布の中身を取られていた事に気づく。昼休みにいじめられてたので僕は飯を買うことができなかった。お腹がすかない訳がない。そんなことを片隅に僕が彼女に質問を繰り出した。



「琴美先輩は『ぐーー』」お腹がなり僕は顔を赤くし恥ずかしがった。けどあれは不可抗力である。言い訳があるとすれば、ここがいい匂いがするのが悪い。などと自分の中で言い訳していると先輩はくすくすと笑い出した



「皐月君ここら辺でなんか買って食べよう」彼女はそんな提案をしてくれた



「ありがとう、でも僕お金無いしそんなにお腹空いて『ぐーー』」なんと完璧なタイミングで腹がなるのだろう、びっくり仰天である。



「いや、今のは、その、違くて」と必死に言い訳を考えていると彼女はまたくすくすと笑ってる。



「お腹は正直なようで何より、でも私のためについてきてもらうんだし。うちのお父さんの前で腹がなって面目が立たんでしょ」



「ぐっ」正論パンチがめっちゃ効く



「だから、私に買わせてちょうだいっ」めちゃくちゃ言い方がずるい、これじゃあ断るに断れないじゃん。



「じゃあお願いするよ」と僕は渋々了承した。でもお腹が空いていたので本当にありがたいのである。僕達は近くのコンビニに足を運ぶ事にした。中に入った途端、彼女に質問された。



「何食べたい」そう僕は聞かれたが、正直食べ物だったらなんでもいいのである。彼女の質問に困っていると。



「じゃあ、私あん饅買おうかな」そういうことなら僕は。



「じゃあ僕は肉饅で、お願いします」そう彼女に伝える。すると、僕は壁にかかっているポスターを見つけた。



『バイトさん募集中』



 そのポスターを見て僕は金欠なことを思い出した。ここでバイトする事もありだなー、と思いつつ彼女の隣を歩きレジへ向かった。人はおらずすんなりレジも通り。彼女は僕に肉饅を口元に持ってきて。



「はい、あーん」僕の口元に肉饅がきた。どうリアクションすればいいかわからず、あたふたしたが。考えても仕方が無いのでとりあえず一口いただいた。



あふあつあふあつ」口に入るとと肉汁が広がっていく。とても熱いが今の季節にはちょっとありがたい。そして、何よりも彼女のアーンが一番のスパイスであり。顔が熱くなっていった。

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