そびえたつ起立筋の谷あいに 流るる川の奥の神秘よ




そびえたつ起立筋きりつきんの谷あいに

流るる川の奥の神秘よ





脊柱起立筋せきちゅうきりつきんは、背骨を挟むように背中に位置する2対の筋肉です。

細かく言うと脊柱起立筋という筋群の中にさらにこまごました筋肉が存在するのですが、ここでは触れません。


さて、ここまでの五首にお付き合いくださったみなさんはそろそろ、「どうやって触るのか早く教えてよ!」と思っているのではないでしょうか?

欲しがりますね~!(すみません)




背中に手をまわしてみましょう。

骨盤より上であれば、どこでもかまいません。

身体の硬い方はむずかしいかもしれませんが、手のひらを背中に当てます。

そのままできるだけ胸を張り、背すじを伸ばします。

背骨をはさむように、両サイドがモリッと盛り上がると思います。

それが、脊柱起立筋です。


あっけないですね。

ちがいます、今までがコアすぎただけなんです。

メジャーな筋肉だとこんなもんです。




しかし、脊柱起立筋にもロマンがあります。その想いを込めたのが、この一首です。

起立筋を山並みにたとえて、落ちくぼんだ谷あいの部分、背骨にあたるところを川としました。


実際に脊柱起立筋の間をぐりぐりと触ってみると、指先にでこぼこを感じると思います。

それがいわゆる背骨。

正確には、首からお尻まで連なる、約27個の脊椎せきついという骨の集まりです。


指でぐりぐりしたときに触れられるのは、脊椎の「棘突起きょくとっき」という部分。

棘突起は、「椎弓ついきゅう」というまるい輪っかにつながり。

椎弓は、幹のようにどっしりとした「椎体ついたい」につながります。

この「椎体」の部分が縦に並んでしっかりと繋がりあうことで、約27個の脊椎は背骨として身体を支えているのです。


ロマンを感じるのは、「椎弓」の輪の中を「脊髄せきずい」が通っている、ということ。

『Dr.スズは褒められたい』でもさんざん登場した脊髄ですが、身体を動かすための重要な器官です。

「脊髄損傷」といえば聞き覚えがあるかもしれませんね。

損傷すれば下半身不随、位置によっては両腕の麻痺も。さらには呼吸器官にも影響を及ぼし亡くなるケースも。

それくらい重要な器官を、脊椎が守っているのです。




身体の中身ってなかなか見えないし、存在を感じにくくてほんとに「神秘」なんですけど。

脊柱起立筋のあいだのでこぼこに触れると、ほんの少し体内を感じることができる。

起立筋の奥に存在する背骨、そして背骨が守っている脊髄。

筋骨格系がどれほど理にかなったつくりをしているか、と改めて実感させられます。


さらにすごいのが、他の哺乳類も似たような筋骨格系を保有していることなんですが、すでに1000字に到達しているのでやめておきます。

あの首の長いキリンも、首の脊椎の数が同じってこととか……やめておきます。



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