ああ、妹って…………良い♡

リアン

第1章

第1話 家族が増える!?

「ねぇ優奈ゆうな、良い知らせと悪い知らせ、どっちから聞きたい?」


「……………へっ?」


高校から帰って来て、頭に桜の花びらをのっけたまま家に入ったその瞬間、出迎えてくれたお母さんからそんなことを聞かれた。


「ど、どういう意味……………???」


「ふふっそのままよ。どっちから聞きたい?」


いつも以上にニヤニヤしてるお母さんは少し…………………気持ち悪い。んっゔん!何にも言ってないよ〜。


「じゃ、じゃあ悪い知らせ?」


「悪い知らせね、悪い知らせは……………………来週からお家が変わります!」


「へ……………?」


い、今お母さんはなんて言った!? い、家が…………変わる!? しかも来週から!? こ、この人お母さんは何を言ってるの?


「良い知らせは…………………」


「ちょちょちょ!ちょっと待って!? え? 家が変わるってどういう事!?」


住む家が変わるっていう重大ニュースの説明を一切しないまま良いニュースを話しはじめようとするお母さんを止める。


「……………? そのままの意味よ? 住む家が変わるの。で、良い知らせなんだけど………………」


「ストップストップストップ!!! まったくわかんないんだけど!? え? 私の学校はどうななるの!? 転校は嫌だよ!?」


なんでこの人お母さんは一切説明をしようとしないで次に進もうとしてるの? 何も知らない私の身にもなって欲しい!


「あっそれに関しては心配しないで、学校に近いところに一軒家買ったから」


「もう家も買っちゃったの!? もっと前から教えてくれても良かったじゃん!」


い、意味がわからなすぎる。お母さんとは私が生まれてからかれこれ16年一緒に暮らしてきたけど、ここまでお母さんが何言ってるかわかんないのは初めてなんだけど! え、もしかしてお父さんが死んじゃったショックが12年越しにやって来ておかしくなちゃったの!?


「お、お母さん、病院行こ? 私もついて行くからさ」


「なによ、お母さんは至って正常よ? それはまぁさておき、良い知らせはね………………………優奈、喜びなさい、あなたに妹ができるわよ!!!」


「……………………はぁあ!?」


…………………? もしかしなくても、お母さんは私のこと馬鹿にしてる? 私ももう高校生なんだけど? 子供がどうやって出来るかなんて中学生の頃に習ったんだけど?


お母さんのお腹は全く膨らんでない、言ってしまえばモデル並みにはスタイルが良いから妊娠してるなんてありえないし、更に言えば大好きだったお父さんを裏切って新しい男を作るなんて思いもしない。だったら…………………………もしかして!!


「お母さん………………再婚………………するの?」


「そうなの♡」


「え、ええええぇぇぇぇぇぇええええええええ!?!?!?」



◇ ◇ ◇



「そこまでびっくりしなくてもいいじゃない」


「いやいやいや、びっくりするって! で、お相手さんはどんな人なの?」


別に私はお母さんの再婚にとやかく言うつもりは無い。ただ、私、お母さんの娘としてはお父さん以上の人はいないと思ってる。


私にはほんの少ししかお父さんとの思い出はないけど、それでも記憶の中のお父さんはいつも私を甘やかしてくれて最高のお父さんだった。お母さんもお父さんといる時は子供でもわかるくらいには幸せそうな顔だった。


そんな最高のお父さん以上の人がそういるわけが無い。私が見極めなきゃ、その人がお母さんをちゃんと幸せにできるのか、を。


「その人はねぇ、優しくて、頼りになって、可愛くて、私の大親友なの♡」


「……………………???」


可愛い?…………………どういうこと???


「もちろん優奈も会ったことあるわよ。まあ小さい頃だったから覚えてるかはわかんないけど、ほら、覚えてない?七海ななみちゃん。私と同い年なんだけど」


(ななみさん………………)

私は脳みそをフル回転させて七海さんという人を思い出す。けど、私の脳は『そんな人はいない』と結果を出す。


「………………わかんない」


「まあ覚えてないのもしょうがないわ。だって七海ちゃんと優奈が会ったの、優奈がまだちっちゃくてお母さんのおっぱい吸ってた頃だもん♡」


「そんなの覚えてるわけないでしょ………………」


それって、まだ私が1歳とかそこら辺の時じゃん。そんなの覚えてるわけ無いでしょ。私が覚えてる1番古い記憶は水族館に行ってお父さんに抱っこされながら円柱状の水槽を見ながら沢山のお魚を見てたのだし。


「まあ良いわ。それで、明日顔合わせに行くわよ♡」


「きゅ、急すぎない?」


明日は土曜日、確かに会うにはちょうど良いかもしれないけどさ……………


「そ、そういえばさその妹さんって何歳なの?お母さんと同い年ってことは…………私と同じくらい?」


「えっとねぇ、確か今年で………………10歳になるって言ってたわね♪」


な、ななな、10歳!? ととと、という事は…………………私と6歳差ってこと!?


「うぅ……………緊張して来た………………」


「ふふっそんな緊張しないの、お 姉 ちゃん!」


「あう〜………………やめてよぉ………………」


「ふふっ楽しみね」






【翌日・昼】






私とお母さんは待ち合わせの時間に遅れないようにカフェに(30分前)に来て、飲み物を頼んで待っている。今日のスケジュールは


・1時にご対面、そこから30分から1時間くらいお話をする。


・次にショッピングセンターに行って日用品だったり、必要な物を買ったりお買い物にする。


・そして夜ご飯(焼肉)を食べて解散!


っていうスケジュールになってる。


「ふふっほらお母さんの手を握って、そんなに緊張してたら向こうまで緊張しちゃうわよ」


「うぅ〜〜〜お母さんは緊張しないの?」


「しないわよ〜お母さん何年生きてると思ってるのよ〜」


「私はまだ16年しか生きてません〜!」


「はいはい、ほらそろそろ着くって。心の準備しときなさい」


お母さんがスマホを見ながら言う。


そしてその5分後、これから私達の家族になる2人がお店の中に入って来た。

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