虚居非佐木のモンスターレポート


〇『唐笠連番長からかされんばんちょう

―出現場所

『成田雨林庭園』

―ステータス傾向

 AGI低めの大技特化。

―能力特性

 影響力の増大

―メモ

 成田ダンジョンで芥が遭遇したユニークモンスター。成田ダンジョンでは視界の通らないダンジョンに罠を仕掛けて獲物を狩るというモンスターが多い中、正面からの戦いをする成田ダンジョンでは比較的まともなモンスターと言える。


 とはいえ、視界の利かないダンジョン内部で遠距離にまで届く長距離攻撃を手段を持つ以上、正々堂々とは程遠いのかもしれない。


 外見は大きな唐笠にも見えるが、開いた傘の下には子供のような一つ目のモンスターが隠れている二体一対――所謂ニコイチのモンスター。


 確認はできていないが、おそらくはどちらか片方を倒したとしても、もう片方が生存している限り蘇生すると思われる。


 攻撃能力は高いものの、手数は多くなく一撃特化のユニークモンスターであるため、攻略方法さえ確立すれば格下であろうと勝てる相手。とはいえ、その攻略方法を初見で見抜いた芥のセンスは驚異的だろう。


 討伐報酬の遺物から見る限り、その能力特性はおそらく現象や事象の影響力の増大だと思われる。


 唐笠の方は『重力』、一つ目の方は『声』を増大させることで攻撃手段としているように見えた。また、影響範囲が限られていることもありその効果は遺物の比ではなく、増大された影響に巻き込まれればクラス4ジョブの冒険者であろうとひとたまりもなかったであろう。


―攻略方法

 感知能力に難を抱えている――というよりも、平凡以下の基準であるために的を絞らせずに立ち回り、時には〈土壁〉のような視界を遮る一手を使うことができれば、接近は容易であると思われる。


 攻撃の合間合間にも大きな隙があるため、遠距離攻撃による狙撃よりもかく乱からのヒット&アウェイによる離脱戦法が有効そうだ。


 もちろん、遠距離攻撃も有効だろうが遠距離で戦う際、相手の攻撃の予兆である鈴の音を聞き逃す可能性があり、その影響で『声』の増幅攻撃を受けて一発退場となる可能性も高い点に留意しておくべきだろう。


 とはいえ、高い攻撃能力に対して防御能力はお世辞にも高いとは言えないため、捨て身戦法が意外にも有効かもしれない。


〇『珊瑚甲礁さんごこうしょうブルーオーシャンクラブ』

―出現場所

〈山下臨海街洞〉最深部

―ステータス傾向

 DEF特化型耐久タイプ

―能力傾向

 防御力強化

―メモ

 難易度Dランクダンジョンである〈横浜ダンジョン〉の最深部にて戦うことができるダンジョンボス。


 その名の通り背中にサンゴ礁を背負った青い蟹であり、その体格は一般的な蟹と比べても巨大。体高だけでも2メートルはあり、横幅は更に広い。わしゃわしゃと足を動かして高速移動することもあり、強さ以上に迫力のあるボスに初見は驚いてしまうだろう。


 また、防御力が高いため生半可な攻撃は通用しない。もし攻撃力の低いジョブで討伐を目指すのならば、甲殻の隙間を狙いじわじわと追い詰めていく必要があるだろうが――手間も時間もかかりすぎるため推奨はできない。


 また、水属性系の魔法を使い遠距離攻撃を仕掛けてくるなど多彩な一面も見せる。


 ただし、攻撃能力はお世辞にも高いとは言えない程度なので、落ち着いて対処すれば問題ないだろう。


―攻略方法

 何はともあれ攻撃力の高いジョブを起用するところからこいつの攻略は始まる。役割分担をするとすれば、『行動を阻害する役』『敵の攻撃を惹きつける役』『魔法攻撃をする役』『物理攻撃をする役』の四つに分かれるのが適正と言える。


 DEFに特化したブルーオーシャンクラブであるが、AGIもそこそこ高いため大技を仕掛けても避けられてしまうことがある。そのため『行動を阻害する役』と『敵の攻撃を惹きつける役』が相手の隙を作り、『魔法攻撃をする役』の大技で仕留める。『物理攻撃をする役』は適所で足を攻撃して破壊したりすることで、更なる相手の弱体化を狙ってもいいし、こちらが本命の火力となってもいい。


 ただし、DEFは物理攻撃に強いステータスであるため魔法攻撃の方が通りがいいのは留意しておくように。望むなら弱点である雷属性がいいだろう。



〇『色喰らいベルゼリチュリー』

―出現場所

〈極彩街道〉最深部

―ステータス傾向

 POWとMPに特化した魔法系

―能力傾向

 特殊な土魔法による宝石創造

―メモ

 極彩街道の最深部で戦うことができるダンジョンボス。とはいえ極彩街道自体に俺自身があまり行ったことが無いため詳細は知らない。


 知り合いの愛代曰く『モンスター型のダンジョンにしては姑息』とのこと。


 光り輝くクリスタルを背負ったダンゴムシ、というのが初見で抱いた感想だが、まったくもってそのとおりらしい。実際、背中のクリスタルは本体ではないため破壊したところでダメージは与えられないとのこと。


 ただ、クリスタル自体が巨大な魔力タンクであるため、破壊することに成功すれば大幅な弱体化を見込める。


 というのも、このモンスターは魔法に特化したモンスターであり、主に地面からクリスタルを生やすことで攻撃を仕掛けてくる。他にも出現させたクリスタルを飛ばしたり、落としたりと多彩であるが、気を付けるべきは近距離で放ってくるクリスタル化攻撃だけと愛代は語っていた。


 ベルゼリチュリーが発する息に触れると、触れた箇所が『クリスタル化』という特殊な状態異常になって動かせなくなるらしい。もちろん、それが全身や主要臓器、頭に当たれば死亡判定だ。


―攻略方法

 一番手っ取り早い攻略方法は背中のクリスタルを大火力で破壊した後に一斉攻撃をするというモノ。ベルゼリチュリーは防御手段が魔法に依存しているため、クリスタルを破壊すると防御行動をしなくなり倒しやすいのだとか。


 とはいえ、クリスタルは並々ならぬ硬さを誇っているために、並大抵の攻撃手段では破壊できない。


 そのため、基本的には敵の攻撃を避けつつちまちまと攻撃をしていくのが望ましい。また、魔法攻撃に対する耐性が高いため物理攻撃が推奨される。状態異常の効き目も悪い。



〇『斉天炎大聖せいてんえんたいせい

―出現場所

〈極彩街道〉

―ステータス傾向

 AGI特化白兵型

―能力傾向

 代償強化

―メモ

 極彩街道のスタンピードにて出現したユニークモンスター。難易度Bクラスのユニークモンスターというだけはあって強力であったが、それでも俺の敵ではなかった。


 常に燃えていることもあり、攻撃自体に火属性攻撃力が付与されている。また、戦闘が激しくなるほどに燃えている部分が増え火の勢いが激しくなり、そして攻撃のキレがましていたところから、おそらく戦えば戦うほどにステータスが強化されていく能力を保有していたと思われる。


―攻略方法

 ほぼ蹂躙で倒したため確定的なことは言えないが、AGIが高い点から攻撃を受ける前提でDEF及びVITの高いジョブを選択するか、防御力の低い後衛を守れるように立ちまわることが重要と思われる。


 火属性に対する耐性を獲得できる特殊効果を持ったカスタマイズを武器に施すことができれば、更に楽に討伐できるかもしれない。

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