第3章…ご褒美
聞き間違いではない
…………へ?
今の、聞き間違いか?
「あ、あの……桐生。い、今何つった?」
オレは美希に確認する。聞き間違いであってほしい。
「脱いでください、と言ったんですよ。竜先輩」
聞き間違いじゃない。美希は確かに脱いでください、と言った。
清楚なイメージがある美希がそんなことを言うなんて思わなかった。
え? なんで……? どういうことだ? なんで脱がなきゃならないの?
「な、なんで? なんでオレが脱がなきゃならないの?お前は一体何がしたいの?」
オレは信じられないといった表情で、美希に疑問をぶつける。
オレは今ものすごく動揺している。誰がどう見ても動揺してるのがバレバレな顔をしているだろう。
美希はそんなオレを見てクスッと微笑した。
「今日の試合で活躍したご褒美ですよ。そのためには脱いでいただく必要があります」
「!?!?!?」
ご褒美で、脱ぐ必要がある?
そんなのもう思春期真っ盛りの男にはエロいことしか思い浮かばないんだが。
え、マジで?
確かに男ならさあ、こんなに可愛い女の子からご褒美をもらえると言われたら確実にエロいことを妄想してしまうよ。
だがそれはあくまで妄想でしかない。実際には全然エロいことではありません残念でしたー、みたいなオチになるはずなんだ。
ちょっとガッカリだけどまあですよね~、ってなるはずだったんだが。
それなのに、本当にガチのマジでエロい展開になるの?
……いやいや……ないない。優勝決定戦とかならともかく今日の試合は練習試合だぞ? 練習試合で活躍したくらいでそんな都合のいいことになるわけない。
オレが童貞丸出しの反応をしてるからからかって遊んでるだけだきっと。そうに違いない。
「は、はは……冗談、だよな?」
「いいえ、マジです」
……え、ま、マジで……?
「…………」
「どうしました竜先輩。早く脱いでください」
「……いや、ちょっと……」
好きな女の子に脱げと言われた。
オレの本能は言われた通り脱げと叫んでいる。美希のご褒美を死ぬほど待ち望んでいる。脱いだ結果どうなるのか……気になりすぎて興味がMAXだ。
しかし恥ずかしい。女の子の前で脱ぐなんて恥ずかしすぎる。
オレは躊躇して凍りつく。恥ずかしくてモジモジする。なんてみっともない姿だ。
「な、なあ桐生。ご褒美なら他にいくらでも方法はあるんじゃないか?」
脱ぐのは恥ずかしい、でもご褒美は欲しいオレはご褒美の内容を変えてもらおうと思ってそう言ってみた。
「うーん……私なりに真剣に考えたんですよ。男の子を喜ばせるにはどうすればいいのか、って。……で、これが一番男の子に満足してもらえるかな~って思ったんですけど」
「い、一番満足!?」
それってもう完全にエロいことじゃねーのか!?
いいのか!? 一番満足するヤツで本当にいいのか!?
オレそこまで望んでは……あ、いや、欲しい!! 喉から手が千本出るほど一番満足できるご褒美をもらいたいと思っているけれども!!
オレごときがそんな、恐れ多すぎる!! 贅沢の極みだ。そこまで求めたらバチが当たる!!
まあバチが当たろうがなんだろうが、一番満足できるご褒美とか言われたらもう他のご褒美で、なんて言えない。チェンジなんてできるわけない。恐れ多いと思いつつもそのご褒美の内容が気になりすぎてこのままじゃ夜も眠れない。
気になるが……やっぱり恥ずかしい。
どうしても気になるのにどうしても脱ぐのを躊躇ってしまう。
「……別にイヤならいいんですよ? もちろん強制はしません。
じゃあご褒美はなしということでいいですか?」
「っ! いや、それは……!!」
ご褒美なしという言葉が出てきてオレの本能は死ぬほど焦った。それだけは、それだけは死んでもごめんだ。
これは人生最大の大チャンスといっても過言ではない。美希からご褒美をもらえるという大チャンス。
このチャンスを逃すなんてもったいなさすぎる。自らご褒美を放棄なんてありえない。
ご褒美なしなんて絶対にイヤだ。オレは先週から今日まで、美希のご褒美が欲しくて一生懸命練習に打ち込んだんだ。たとえ天変地異が起きてもご褒美は絶対にもらう。
もうオレに脱がない選択肢はなかった。脱げば一時恥ずかしいだけで済むが、脱がなかったら間違いなく一生死ぬまで後悔する。
迷う要素ない。オレは覚悟を決めた。
恥ずかしさを強引にぶん投げた。ぶん投げた結果、頭の中が壊れる音がした。
ええい、もうどうにでもなれ!!
カチャカチャ
ジーッ……
野球のユニフォームを着てたオレだったが、素早くベルトを外してチャックを下ろす。その動作に1秒もかからない。
そして一気にズボンをずり下ろした。
―――ズルッ
ブランッ
「ッ!? きゃあああっ!!」
そしたら美希の顔が一瞬にしてカアアアッと真っ赤に染まった。
そして次の瞬間には美希は可愛い悲鳴を上げて真っ赤になった顔を両手で覆った。
「ど、どうした桐生!?」
「そ、そのっ、違います竜先輩! 脱ぐのは下じゃなくて、上ですっ! 脱いでほしかったのは上半身なんですっ!!」
美希は両手で顔を覆ったまま後ろを向いて必死に叫んだ。
なんか下半身がスースーする感覚があって、そこでオレは正気に戻った。
スースーする下半身に視線を落とす。
ブラブラッ
ぱおーん
男にしかついてない、オレの大事なチン○ンがブラブラと揺れながら美希の前で露になっていた。
好きな女の子の前で、下半身スッポンポンのフルチンになっていた。
オレはズボンだけを脱ぐつもりだったんだ。いきなりパンツまで脱ぐつもりはなかったんだ。本当だ、これはワザとじゃない。
脱ぐ覚悟を決めた結果、勢い余ってボクサーパンツまで一緒に脱ぎ下ろしてしまった。完全にやってしまった。
「ッ~~~!!」
自分がフルチンになってることに気づいた瞬間オレは急いで両手で股間を隠すがもうすでに遅く、自分の大事なチ○チンを美希に見られてしまった。
時間を巻き戻してなかったことにできないだろうか。この記憶を消す方法はないだろうか。一度やってしまったことはもう取り返しがつかないのにその摂理に必死に逆らおうとするくらい恥ずかしい。
事故で脱げてしまったとかならまだマシだった。混乱していたとはいえ自ら脱いだんだから救いようがない。
オレには妹がいるんだけどその妹にも最近は見られてないのによりによって好きな女の子に見られてしまうなんて……
死にたい。誰かオレを殺してくれ。
「ご、ごめん桐生……見苦しいモノを見せてしまって……」
恥ずかしすぎて顔が茹でダコみたいになってるのは間違いない、だってありえないくらい顔が熱くなってる。
前かがみで内股で股間を隠す今のオレの姿は世界一みっともないだろう。
「いえ……私の方こそすみません、言葉が足りませんでした。上を脱いでくださいってちゃんと言うべきでした……」
美希は顔を真っ赤に染めたままできるだけオレの下半身を見ないようにしながら気を遣ってくれた。
「えっと……それで上半身を脱げばいいんだっけか……?」
「はい。でもその前に……パンツを履いてください……」
美希の方もものすごく恥ずかしそうにしてて、視線を横に向けながら言われてオレはハッとした。
確かに……いつまでフルチンでいる気だ。足元にパンツとズボンが落ちてるんだからさっさと着ればいいだけの話だろ何やってんだオレ。自分の格好もそうだが自分のマヌケさがマジで恥ずかしい。
オレは美希に背中を向けてできる限り素早くパンツとズボンを履いた。
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