第1話『酔っ払っても親友は可愛い』

 朝に優奈や千尋達の胸を堪能したり、昼休みに優奈の胸を追加で堪能したりしたおかげもあって、放課後まではあっという間だった。

 毎週月曜日は、毎週水曜日に活動するスイーツ研究部で使う材料の買い出しをする。当番制なので毎週担当するわけじゃないけど、今週は優奈など数人の部員と一緒に担当することになっている。

 優奈と一緒に家庭科室に行くと、既に買い出し担当の部員が全員集まっていた。なので、みんなと一緒に近所にあるショッピングセンターに材料を買いに行く。

 もう梅雨に入ったけど、今日は日中いっぱいは曇りで雨が降る心配はない。雲の切れ間から日差しが注ぐときもあって。なかなか暑いけど、雨が降るよりはいい。運がいいわ。

 ちなみに、今週の活動で作るスイーツは抹茶味のわらび餅。部活では洋菓子を作ることが多いから和菓子は珍しい。和菓子も好きだからわらび餅を作るのが楽しみだわ。

 必要な材料を無事に買うことができ、家庭科室にある冷蔵庫に入れたり、スイーツ研究部用の棚に置いたりした。これで、今週もちゃんと活動できるわね。

 一緒に買い物を担当した部員と雑談しながら下校して、最寄り駅の高野たかの駅の近くで、優奈以外との部員とは別れた。


「萌音ちゃん。これからどうしましょうか? まだ5時になっていないですし、どこかお店に行きますか? それとも、駅の近くまで来ていますし、私の家に行きますか?」

「優奈の家……いいわね。買い出しで歩いたから、優奈の家でゆっくりしたいな」

「分かりました。では、行きましょうか」

「ええ」


 それから、私は優奈と一緒に、優奈と長瀬君の住まいがマンションに向かう。高野駅のすぐ近くにあるため、2人の住まいは学校からも、私の家からも徒歩で行ける。なので、優奈が実家に住んでいた頃よりも遊びに行くことが多くなった。

 マンションに入り、優奈と長瀬君の住まいである1001号室へ。毎度、このマンションに来ると立派だなぁと思う。


「どうぞ、萌音ちゃん」

「お邪魔します」


 優奈と長瀬君の住まいにお邪魔する。

 優奈がスリッパを用意してくれ、優奈の部屋に通された。

 部屋に入った瞬間、優奈や長瀬君の匂いがほのかに感じられて。ベッドには枕が2つ置かれていて。昨日の夜はこの部屋で優奈と長瀬君が一緒に寝たのかしら。引っ越しの手伝いをしたのもあり、2人の生活感を感じられると温かい気持ちになる。

 優奈がエアコンのスイッチを入れてくれる。エアコンから涼しい風が出てきてとても気持ちがいい。

 近くにあるクッションに座り、私はスクールバッグから汗拭きシートを取り出し、首や腕などを拭いていく。暑い中で部活の買い出しをしたのもあって汗掻いちゃったからね。優奈も同じなのか汗拭きシートで拭いていた。


「萌音ちゃん。冷たいものを用意しますね。コーヒーか紅茶、麦茶ならすぐに出せますよ」


 2人とも汗を拭き終わったとき、優奈がそんなことを訊いてきた。


「ありがとう。じゃあ、コーヒーをお願いできる?」

「分かりました。ブラックにしますか? ミルクやガムシロップを入れますか?」

「ガムシロップをお願いするわ」

「分かりました。あと、昨日、父の日のプレゼントを渡しに実家に帰った際におじいちゃんからもらった酒入りチョコが冷蔵庫に入っていて。萌音ちゃん、いかがですか?」

「学校で話していた、昨日の夜に長瀬君と食べたチョコのことね。チョコは好きだし、どんな感じか興味があるから食べてみたいわ。……でも、長瀬君も食べるものだし、私が食べてもいいのかしら?」

「10粒くらい残っていますし、大丈夫だとは思いますが……和真君に訊いてみましょう」


 その後、優奈は酒入りチョコレートを食べていいかどうかと長瀬君にメッセージを送り、リビングにアイスコーヒーを作りに行った。

 優奈を待っている間、私はスマホをいじる。そうしていると、

 ――プルルッ。

 と、ローテーブルに置いてある優奈のスマホのバイブ音が鳴った。長瀬君だろうか。


「お待たせしました、萌音ちゃん」


 マグカップを2つ乗せたトレーを持った優奈が戻ってきた。


「おかえり。あと、スマホが鳴ってたわ」

「そうですか。和真君かもしれませんね」


 優奈はトレーをローテーブルに置いて、スマホを手に取る。


「あっ、和真君でした」

「長瀬君か。ちょうど休憩の時間だったのかもね」

「ですね。……チョコ、食べてかまわないですって。ただ、お酒が入っているので食べ過ぎには気をつけてと」


 そう言い、優奈は笑顔でスマホの画面を見せてくる。画面にはLIMEというSNSアプリの長瀬君との個別トークで、


『食べて全然かまわないよ。ただ、お酒が入っているから、食べ過ぎには気をつけて』


 という長瀬君からのメッセージが表示されていた。


「ほんとだ。……まあ、今までもお酒が入ったチョコは食べたことがあるし、体がちょっと熱くなる程度だけど……この後、家に帰るから1粒だけいただくわ」

「分かりました。私も1粒だけにしましょうかね。昨日は3粒食べて結構酔っ払ったので……」


 優奈は頬をほのかに赤くしてはにかんでいる。学校で聞いた話だと、酔っ払った優奈と長瀬君はイチャイチャしたらしい。詳しく話さなかったけど、この様子だと、キスはもちろん、その先のこともしたんじゃないかと思う。


「そう。まあ、前にうちで、香り付け程度にお酒を使った洋菓子を食べたら、優奈はいつも以上に気分が良くなっていたものね。1粒だけにするのはいいかもしれないわね」

「ですね。……チョコ、持ってきますね」

「うん。ありがとう」


 優奈はマグカップをローテーブルに置き、トレーを勉強机に置いた後、部屋を後にした。

 コーヒーを一口飲むと……苦味がそれなりにありつつも、ほのかに甘味も感じられて美味しい。あと、外は蒸し暑くて買い出しに行ったから、冷たいのもいいわ。


「お待たせしました」


 優奈が部屋に戻ってくると、私の右斜め前にあるクッションに腰を下ろした。その際、優奈から赤い銀紙に包まれたものを一つ渡された。


「こういう銀紙に包まれてると、何だか高級な感じがするわね。さすがはあのおじいさんからもらったチョコだけあるわ」

「分かります。あと、和真君も銀紙に包まれていると高級感があると言っていました」

「そうだったのね」

「あと、このチョコレートはおじいちゃんの友人の方が海外旅行のお土産で買ってきてくれたものなんです」

「そうなのね」


 そんなやり取りをしながら、私と優奈は自分の持っているチョコレートの赤い銀紙を剥がした。


「では、いただきます」

「いただきますっ」


 酒入りということなので、チョコレートをまるごと口の中に入れた。

 一回噛むと、パリッという音と共に、口の中に冷たい液体が出てくるのが分かる。その液体は苦味があって。ただ、チョコがなかなか甘く、液体の苦味とのバランスがいい。

 ゆっくりと咀嚼する中で、鼻にツーンとした匂いが抜けていく。この独特の匂いと口の中が段々と熱くなっていく感覚……お酒だ。今までに何回か酒入りチョコを食べたことがあるけど、これが一番強いお酒かもしれない。

 何度も咀嚼して、チョコレートの原型がほとんどなくなったところで飲み込んだ。もちろん、お酒も飲み込むので、喉から食道にかけても熱を感じ、その熱がじわじわと全身に広がり始めるのが分かる。


「美味しいわ。あと、お酒が入っているから、ちょっと体が熱いわ」

「美味しいですよねぇ。あと、私も体が熱いですぅ」


 優奈は柔らかくて甘い声でそう言った。

 優奈の方を見てみると……優奈はとても幸せそうな笑顔になっていた。頬を中心に顔が赤らんでいて。今回は1粒だけだけど、昨日、長瀬君はこういった優奈の笑顔を見たのね。


「萌音ちゃんと一緒に美味しいこのチョコを食べたので、とても気分がいいです~」

「そう言ってくれて何よりだわ。あと……1粒でもなかなか酔っ払ってるわね、優奈」

「体がポカポカしてますし、ふわふわとした感じですし、きっとそうなんでしょうね~。萌音ちゃんはどうですか~?」

「私は体が温かくなる程度よ」

「そうなんですねぇ。和真君と同じような感じですね~!」


 ニコニコしながらそう話す優奈。酔っ払っているからか、上半身を左右にゆっくりと揺らしていて。酔っ払っても優奈は可愛いわ。あと、1粒でなかなか酔っ払っているし、長瀬君が食べ過ぎには気をつけてって言ったのは納得ね。

 全身に熱が広がって、体がポカポカしてきた。1粒だけだからこの程度なんだろうけど、これ以上食べたら私も結構酔っ払っていたかも。


「ねえねえ、萌音ちゃん」

「うん?」

「……萌音ちゃんのおっぱいに顔を埋めたいです。あまりやらないので……」


 私のことを見つめながらそんなことをお願いする優奈。確かに、優奈が私の胸に顔を埋めることはあまりないわね。いつも、私が優奈の胸を堪能しているから、その中で私の胸を堪能したい気持ちが膨らんでいたのかも。


「いいわよ。いつも優奈の胸を堪能させてもらっているし。私の胸を思う存分堪能しなさい」

「ありがとうございますっ!」


 優奈はとても嬉しそうな笑顔でそう言ってくる。ただ、今は酔っ払っているのでとろけた感じもする笑顔で。ちょっとキュンとなる。

 優奈が私の側で来たので、私は優奈の方に向いて両手を大きく広げる。

 優奈は私のことを抱きしめて、その流れで胸に顔を埋めてくる。酔っ払っている影響なのか、いつも私が優奈の胸を堪能するときよりも体が熱い。あと、優奈の髪からシャンプーの甘い匂いがする。


「どう? 優奈」

「柔らかくて、温かくて気持ちいいですよ~」

「それは良かった。私、Cカップだけど、優奈に気持ちいいって思ってもらえて嬉しいわ」

「いいおっぱいですよ~」

「ふふっ、ありがとう」


 お礼を言って、私は優奈のことをそっと抱きしめ、右手で優奈の頭を優しく撫でる。

 すると、優奈は私の胸から顔を話して、私のことを見上げながらニコッと笑ってきて。その笑顔はいつもよりも幼く感じられて、新鮮に感じられた。

 優奈は私の胸に再び顔を埋める。スリスリもしてきて。何だか気持ちいい。

 少しの間、顔を埋める優奈の頭を優しく撫でた。優奈の強い温もりや甘い匂いを感じられるから、堪能される立場でも心地良く感じられる。


「……いいおっぱいでした」


 そう言うと、優奈は私の顔から顔を話す。満足したのか、優奈の顔には満足げな笑みが。


「良かったわ」

「とても気持ち良かったです。ありがとうございました、萌音ちゃん」

「いえいえ。私も気持ち良かったし……こちらこそありがとう」


 私はお礼を言って、優奈への抱擁を解いた。

 優奈は私と向かい合う形で座って、


「……では、今度は萌音ちゃんの番ですっ」


 優しい笑顔でそう言い、さっきの私のように両手を広げてくれる。目の前には優奈の大きなFカップおっぱいがあるので、自然と体がそちらに引き寄せられていく。これが万乳引力ばんにゅういんりょくというやつ?


「ありがとう、優奈」


 そう言い、私は優奈のことをそっと抱きしめ、顔を胸に埋める。

 あぁ……気持ちいい。柔らかいし、酒入りチョコレートの影響かいつもよりも優奈の熱を強く感じて。あと、汗拭きシートの爽やかな匂いが混ざったいい匂いもしてきて。


「萌音ちゃん。私のおっぱいどうですか~?」

「最高だわ。お酒の影響でいつもよりも温かいし」

「ふふっ、良かったです~。萌音ちゃん可愛いです~」


 そう言うと、頭に優しい感触が。きっと優奈が優しく撫でてくれているのだろう。とっても幸せだわ。

 それから少しの間、優奈の胸の中での幸せな時間を過ごした。

 優奈の胸を堪能した後は、アイスコーヒーを飲みながら優奈と一緒にゆっくりと過ごす。

 コーヒーの苦味と冷たさのおかげで、体がシャキッとする。お酒に酔ったことでの体の熱が収まっていく。優奈も同じようで、食べ始めてから30分も経てばいつもの優奈に戻っていた。

 今日は放課後も優奈の胸を堪能できて、酔っ払った優奈の可愛い姿を見ることもできた。だから、いつもよりもいい日だったわ。

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