いつもの丘の上で…

NENIKIO

第1話海の見える丘

 君が大きな夕日の前で僕につぶやいた。

       「好きだよ」


****


海の見える丘から遠くにある水平線を眺める。これが学校が終わったあと一番のひとときだ。


「あ〜!!今日も監獄からの脱出だー!」


僕は海に向かって叫ぶ。


「何が監獄よ」


後ろから声がした。のぞみの声だ。


「学校は監獄だろ?」


「別に何にも捕らえられていないでしょ」


「うるさいな」


僕は希に対して答える。

 希と僕は幼馴染だ。

 同じ日に生まれて、家も隣。小、中、高と一緒だ。小学生の頃はよく一緒にいたけど、中学生になると一緒にいるのが恥ずかしくなって一緒にいることはほとんどなくなった。高校生なんてなおさらだ。だけど唯一二人でいられて話せるところがある。

それがこの丘だ。


「うるさいって何よ!それよりテストに向けて勉強はしてるの?」


希は本当にお節介だ。


「お前に心配されなくてもしてるよ!!」


少しキレて僕は答える。

そんなことは気にせず希は続ける。


「ならよかった。私この後塾あるから帰るね!」


「じゃまた」


僕はぶっきらぼうに返した。だけど、少し「また」を強く言った。

そんなことは気にもせず、希は綺麗な黒髪を靡かせて帰って行った。


 希は多分学校一の美少女だろう。他のクラスだけでなく他学年からも彼女目当てに見にきているらしい。そんなことは希は全く気にしていない。非常に不思議だ。


 僕は一言つぶやいた。

「は〜。今日も伝えられなかった…」


****


学校終わり、私はさっさと自分の荷物を片付けて帰ろうとする。


「希!もう帰るの?早くない?」


志歩しほが声を掛けてきた。


「うん!今日は塾で勉強しようと思ってて」


「希はよく勉強するなー」


「志歩もちゃんと勉強しなよ!じゃあね!」


「もちろん!じゃあまた明日!」


志歩と別れた。

 私は塾に行きながらやらなければならないところがある。坂を登っていくと海が見えてきた。そして人の姿が見ててきた。じゅんだ。


「あ〜!!今日も監獄からの脱出だー!」


私は思わずツッコむ。


「何が監獄よ」


「学校は監獄だろ?」


「別に何にも捕らえられていないでしょ」


「うるさいな」


「うるさいって何よ!それよりテストに向けて勉強はしてるの?」


「お前に心配されなくてもしてるよ!!」


私はもっといい話ができないのか??

恋バナとか相談とか。


「ならよかった。私この後塾あるから帰るね!」


私はもっと長い会話ができないのか?気まずくなるだけじゃん!


「じゃまた」


準はぶっきらぼうに答えた。だけど「また」が少し強く言った気がした。

 彼は近いけど遠い存在だ。
















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