証明の150㎞

猫原獅乃

第1話 野球少女

私は新野由里。10歳。3小こと第3小学校の5年生。

野球が何よりも(食べることも好きだけどね)好きで、

近所の「東京ドルフィンズ」…東京って大げさだけど、ここ東京のはずれなんだよね…。のピッチャー。

3年生から所属しているけれど、私が出た試合ではまだ1、2度しか負けたことがない。

一応速球派で、地味に地元では有名。

今日はドルフィンズの試合日。対戦相手は隣の市の「大谷おおやキャッツ」。

これまでに5回対戦があって、3勝2敗。ちなみに今日投げるピッチャーは私。

本当は違う人だったけれど、親戚の法事で来れなくなったそう。

「お母さん、行ってくるね。」

荷物の入ったリュックを背負い、水色の帽子をかぶりユニフォームを着て自転車に乗る。

数分で河川敷に着いた。

色々とやることを終え、試合が始まった。まずは相手の攻め。

相手バッターは山口。

1球目。山口は見送る。ボール。

2球目。ストライク。

その後にボールを1つ入れ、ワンストライク、ツーボール。

4球目。 カン、と良い音がしてボールがバットに当たる。取れずに頭上を軽く越え、セカンドがボールを取る。ファーストに送球した。タッチアウト。

その後も調子が良く、三者凡退で相手の攻めを終わらせた。

自分たちの攻めでは、先頭バッターからタイムリーツーベースを打ち、

3人目で1点先取した。

その後また相手の攻め。

一度ホームランになりそうな打球があったのをセンターが捕り、その後は1人塁に出したもののその後は順調に終わらせた。

次は3塁までバッターが行ったものの、得点が入らない。

ルールで3回までの試合になっている。次が最終回になる。

1人目、宇田元。ストライク、ストライク、バッターアウト。

あっけないほどゲームが早く終わる。

結果は1対0でドルフィンズの勝ち。

「新野ー!」

「亮!今日良かったじゃん。」

「そっちこそ!お前ほんとにフォアボール出さねえよな。」

「まあね…。でも打撃センスがないんだよ。木本だってすごいじゃん。」

亮は今日点を入れたバッターだ。打撃センスがいい。

「ああ、もう五時?」

「始まったの遅かったしね。」

「ああ、俺5時半から塾じゃん。やべ。またな!」

亮は一番家がここから遠い。

「うん!」

皆忙しそうだな、と思いながら、支度を始める。

私は公立中に行くし、成績も「普通」か「できる」をキープしている。

「良くできる」になったことはないけれど。

私も帰ることにしよう。

荷物を背負い、自転車に乗る。

「ただいまぁ。」

「由里、お帰り。」

「今日の夜ごはん、何?」

「今日は焼き魚。」

「ええぇっ…」

これが私の一日である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る