月天の閃き
キラ・セダイ
第1話 人間界と天界
私たち人間は、
六道の1つ「人間界」に属する。
楽しみもあるが、同じように苦しみもある。
私たち人間は、地上に住み、苦しむ者もいれば、そうでも無いものもいる。
自国が平和な時でも他国では、
争いは、絶えず地球のどこかで起こっていて世界平和など中々訪れない。
そんな我々は、苦労をし楽を得る
こともあれば、奇跡のような事が
起こることもあるが、基本的には、
ささやかな幸せのため皆一生懸命なのだ。
そしてもう一つの世「天界」。
人間よりも優れた存在である"天人"
と呼ばれる人々が住んでいる世界だ。
彼らは、美しい衣、麗しい姿で、常にそこには、楽が有り、苦しみが無い。天人たちは、人間からしたら、計り知れない間、踊りや舞いを毎日楽しんでは、喜びに満ち溢れている生活を送っている。しかしそんな彼らも寿命が尽きれば、「天人五衰」と呼ばれる恐ろしい苦しみの後にまた、六道を輪廻する事になる。
そんな天界だが、この三千世界には至る所に存在する。我々が夜になるといつでもどこでも見ることのできる。「月」にも実は、天人は存在しているのだ。人間は一度だけ月へ行った事あるが、自分たちより優れた者は、肉眼で見る事ができないのだ。月の天人。つまり月天(がってん)と呼ばれるその人々は、人類に最も近い天人たちであり、今宵も大勢の月天達が楽を得ている。アポロが月の探索に訪れた時には、その様子を記憶している月天も多い。つまり我々人間に身近な天人たちとも言える。
いくら平和で楽しい天界とはいえ、
全く災いが起こらないかと言えば
そうではない。やはり六道の1つで
ある以上、中には悪い天人もいる。
今回は、大勢いる天人の中で、
好んで人間と天人に悪巧みをする
「悪天」とよばれる天人との
決着をつけるために
"ある閃き"をして
誓願を建て、自ら天の羽衣を捨て
人間界へと下生した、
ある若い1人の月天のお話だ。
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