第23話 後悔してももう遅いその1
蠍尾大聖橋・
ロックとフェイラは貧民窟を橋の上から覗き混んでいた。
「おい、どうなってんだよこれ…」
「嘘..」
貧民窟は怪物の大群が押し寄せ、まるで海が波打っているかのようにすら見える。
だが絶望している暇など無いことは重々理解しているロックとフェイラは頭を素早く切り替え騎士達に的確な指示を飛ばす。
「魔法が使えない重騎士壁は下がって、魔法が使える魔道士達は各々攻撃魔法を下に放って!」
「「「了解!!」」」
「兎に角時間を稼げ!!この状況になったら、最善策はアイツを待つことだけだ」
「はい!」
横にいた騎士の一人は息も絶え絶えになりつつ勇ましく答える。
目まぐるしい攻防が続く中、息を切らしながら騎士の一人が二人に近づいてきた。
「勇者パーティー様あれを…」
ロック「アァァァ?! てめぇなんだこのクソ急ぎしい時にッ!殺されてえのかよ………ってまじかよ………」
フェイラ「何なのよ………アレふざけてんの……」
二人の目線の先に飛び込んできたのは、怪物達がまるでアリの群れが集まってアリでできた橋を作り水面を渡るかのごとく、その有り余る物量によってハシゴを形成し、今まさに大蠍橋に向かって倒れ込んできている瞬間であった。
硬いもの同士のぶつかり合うような轟音が辺りに響くと同時に橋が大きく揺れる。
数秒、生唾を飲むのすら躊躇われるような沈黙が周囲を包む。
しかし、橋下を見た一人の騎士の叫びによってそれは掻き消される。
「まずいッ!登って来るぞぉお!!」
その声に騎士達は悲鳴をあげてパニックを起こし1人、また1人と恐怖が伝染していく。
そんな騎士達に苛立ちを憶えながらもロックは目の前の仕事に専念する。
「こんなもん登ってきたヤツから殴り落とせば...」
言いかけたところでフェイラが被せて警鐘する。
「違う!きっとここだけじゃない!壁を伝って...」
言われるがままロックが下を覗くと千を優に超える化け物達が横並びに壁を伝ってよじ登ってくるのが見えた。
ロック「…どないしよ」
これは為す術が無いとロックが途方に暮れたその瞬間──────
ボゥという火が風に
熱波が体を包み、遅れて衝撃が辺り一面を駆け抜ける。
周囲に複数の煙柱が上がり、なにか肉の焼けるような臭いが立ちこめる。
フェイラ「…あ」
ロック「来たか」
騎士たち「ああ、あれは」
騎士たち「英雄!!偉大者!!勇者殿!!……」
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