第21話 三人寄っても烏合の衆

「るせ〜大体おめぇが○‪✕‬△□...」


「いいじゃない○○△‪✕‬」


三角帽の男とエニアが言い争っているとヴァンが口を挟む。


「何やってん?先生?」


「あれ、あんた...。」


エニアは思い当たる節があるような表情をしたかと思うとディーンを見た時と同じように眉間に皺を寄せなにか思い出そうとするような素振りを見せる。


「愛弟子一号か..そう! 愛弟子一号!!」


「一瞬、忘れてんじゃねーよ!ガチでバカだな」


ヴァンが全力でツッコミを入れている横で新たな再会が起きていた。


「アッ!」


「ゲッ!」


三角帽の男"ロクス"がディーンを見つけニヤリと笑う。


見つかったディーンは対照的に苦い顔をする。


「パクリクズ野郎じゃん久しぶり〜」


「うぅ」


(あぁ、自分馬鹿にしたやつのことは覚えてるんだ、トラウマとして)


カインはロクスの言動から関係を察して納得した。


「貴様、私のバクナ様になんて口の聞き方か!」


レインが憤怒した様子で鋒をロクスに向けた。


「うぉぉ、なんだ? これ本物? でもホントのことなんだよ!これが!こいつパクリの曲で金を...」


ロクスは慌てた様子で弁解する。


「私のバクナ様がそんなみみっちいクソせこ行為するわけ無いだろう!」


「...。」


ディーンはその場で小さくなって下を向いた。


(あっ すげぇダメージ 下手したら今日一? どれ、手助けしてやるか。哀れな奴を見ると 心に影が落ちるしな)


カインは小さくため息を着いた。


「皆〜各々、揉めるのは勝手でもさ〜  でもどうすんのこの状況、どっかに避難しなきゃ、僕はまずいと思うんだけど〜〜〜〜?」


カインの問にヴァンが答える


「上に、帝国に行けばいいだろう。向こうには騎士団もいるし...勇者御一行もいるからな、安全は確保されたも同然だ」


「ここからなら南西25レイルに検問階段所があるこの混乱なら一時的な検問も無しになるだろう」


※1レイル1.3キロほど


「いえ、そういうわけにはいかないわ。なぜならこの騒動を起こした原因は私はクンニスだと睨んでいる。」


「目隠しの大地へ早く旅だった方がいい」


エニアはキッパリとそう言いきった。


「時期、国王候補だぞ?もうすぐ自分が統治する領土を荒らす訳無いだろ?」


ヴァンが訝しげに問う。


「そーだ、そーだ テメェ恨み買ったからって無茶苦茶言うんじゃね〜よ」


ロクスはそれに便乗しエニアを叩く。


「なんだと〜?」


ロクスの売った喧嘩を脊髄反射でエニアが買い再度口論が始まる。


「…」(めんどくせぇ)


カインはウンザリした様子で耳を塞いだ。


「ここまで来たら、持っている情報は関係ない。その場の判断、つまり警戒心が高く用心深い性格のやつが決めるべきだろう」


再度カインがその場を仕切り現状を打開する方法を提案する。


「…っというと、つまり、ビビリのチキン野郎が適してるということか」


若干曲解気味ではあるが、噛み砕いてわかりやすいヴァンの補足に本人を除く全員がディーンを見る。


「「「「「・・・・・」」」」」


「ォ゙、オレ!?」


ディーンは全員の顔を恐る恐る覗き込み、断れる雰囲気でないことを悟ると少しキョドりつつも持論を展開する。


「う~ん? まぁ...変に帝国の避難所行っても?どうせ?役立たずの僕なんて難癖つけて追い出されるだろうし?」


カイン(卑屈すぎる…)


「それなら"弱者救済"を掲げた教会に行ってみたい」


「決まりだな、大教会街に行くには、南東、ブラックホライゾン方面だ...」


「だがどうする?これほどの大所帯、未だ音もなく忍び寄ってくる種類タイプがいる中で、交戦を最小限に抑える方法はないぞ。誰かは死ぬ」


ヴァンは現状を冷静に分析しそう続けた。


「いや、可能だ。俺のブラッドトリガーを使う」


ロクスは帽子を外しながらそう言った。

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