非有意義な休み時間をあなたに

こへへい

休みについて

和樹「高校生の休みって、傍から見たら羨ましいらしいよ」


隆太「そうかぁ? 土日の休みと、授業毎の10分、昼休みの45分って結構短いと思うんだが」


和樹「そうなんだよ、加えて定期テストの勉強しないといけないし、部活ある人は早朝や放課後も潰れてしまうって兄貴に言ったんだけどね」


隆太「あ、兄貴の話だったんだ。就活浪人だっけ?」


和樹「そうそう。オンライン面接とかできるんだから、兄貴もそれほど時間奪われるとは思えないんだけどな。でも兄貴は高校生の休みが羨ましいってさ」


隆太「へぇ、何でそんなこと言うんだろう、休みが多いのに、休みの少ない人の休みを羨ましがる気持ち、かぁ。兄貴は就活してない時は何してるの?」


和樹「んー、パソコンで、ちらっと見ただけだけど、マイナビ見てたな」


隆太「いやそれ就活だろ」


和樹「そう? まぁそう言われれば、就活か」


隆太「他には?」


和樹「ゲームとか、アニメ見たりとかかなぁ。そん時はスマホ見てるし」


隆太「cmとかロード時間とかな。やるやる」


和樹「ツイッターとかで隙間時間ついつい埋めちゃうんだよなぁ」


隆太「そうそう。ツイッターのバズってる動画見たいのに、最近有機ELに変えたからロード短くて見れねえんだよなぁ」


和樹「そうだよね。俺も最近PS5からPS5プロに変えて、ロード時間が鬼早くてさ、ツイッターを見る時間とか一瞬もないなー」


隆太「……」


和樹「……」


隆太「辞めよう、最新機種マウントは不毛だ。無駄な見栄は争いの元だ」


和樹「そうだね、PS5プロはまだ発売されてないし。なんならPS4しかない」


隆太「嘘なのかよ。無駄な見栄じゃなくて無意味な見栄張ってんじゃねぇ。それに今の時代PS4って結構ロード長い部類じゃねーか」


和樹「まぁさておきだ、兄貴もそうやって休みな時間を謳歌しているはずなんだよ」


隆太「うーん、もしかして、そのスマホ見ているのってのも、実はマイナビ見てたりするんじゃないのか?」


和樹「どうだろう、あ、でもゲームで勝ってるのに落ち込んでる時はあったかな。お祈りメールきたとか言ってた」


隆太「やっぱり。兄貴就活で結構頭いっぱいになってるぞ」


和樹「そう、なのかな?」


隆太「ああ。休みなのに就活の事を考えざるを得ないって、それ実質休めてないのと変わらないしな。それに比べて俺らは帰宅部だから、授業のことなんて気にしないで休めるからな」


和樹「あー、まぁ確かにそうかも、例えるなら、来週テストってわかってると、家帰っても勉強しないとだから全然休めないみたいなもんだもんね」


隆太「そうだな、テストは来週からじゃなくて、だもんな」


先生「はい、教科書とか片付けろよー。まずは数学なんだし、覚える内容とかいらんだろ。さっさと往生しやがれなー」


 後ろに向けていた椅子を前に戻すと「だぁ~~~」と、大きなため息が後ろから聞こえてきた。ゲームしてばっかりの弟がいたら、そりゃ勉強しろって思って悪態も付きたくなるな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る