十一の手役と慈悲心鳥

あの鳥は

我が心など

知りもせず

張りぼての巣に

ただ託すだけ



訳→あの慈悲心鳥じひしんちょうという鳥は人の気も知らないで作られた巣に自身のたまごをただたくしてしまう。

あの鳥のように、あの人は私の気持ちも知ることなく、つくろっただけの見せかけの場所に大切なものを託してしまうだけ。

「君は私の想いなど知りもしないで、私が取り繕った理想を夢見てその身をゆだねてしまうだけだから少し嬉しいのですが少し心配なのですよ」


題名の補足

十一といち手役てやく→花札という遊びで十枚配られた自分の持ち札の中で、一つだけ良い札であとは使い物にならないカス札ということです。

慈悲心鳥→十一じゅういちという鳥の別名。鳴き声がじゅういち、と鳴くカッコウ科の鳥。カッコウはたまごを産むとき他の鳥の巣のたまごとすり替えてしまう。生まれたカッコウのひなは他のたまごを巣から落としてしまう。気づかずその巣を作った親鳥はカッコウの雛を育てる。カッコウは少々、残酷ざんこくな鳥ですね。

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