振り向いてくれるまで催眠術を掛ける百合
km黒
第1話
学校からは、わりと遠く、同じ学校の生徒がいることがほとんど無いこの図書館で、
友達の
最近の図書館は漫画やラノベを取り揃えるようになっている。
夏菜は好きなラノベを買うお金が無いと言っていたので、そういう層には、この動きはありがたいのだろう。
私はラノベや漫画を進んで読むタイプではないので夏菜のいるラノベが揃っているコーナーにはついていかず
丸いテーブルが並び、テーブルの真中には何かのアニメキャラがピースをしていて吹き出しには「オススメの本」とかかれ、キャラの下には本が円形に並んでいた。
そのなかから、「心の学問全集」とかかれた本を手にとって、読みながら夏菜を待っていた。
「あったよーあった、あった」
と夏菜が胸の高さまで積まれている本を落ちないように両手で支えながら持ってきた。
「多すぎでしょ」
と苦笑いを浮かべながら夏菜に向かって言うと
「この図書館遠いし、いっきに借りとかないと!」
と当然かのような口調と、自信に満ち溢れた声で言ってきた。
家に持って帰る時と、返却する時のことは考えているのか、気になってしまったが、おもしろそうだし、黙っていることにした。
そうしてラノベのバーコードを読み取り、返却期間を決めている時
この図書館、西口自動ドアの出入口がある方向から見知った顔が現れた。
あれは、たしか、名前を思い出そうと考えていると
「あれって白石さんじゃない?」
と夏菜が私に聞いてきて、私の頭で記憶が呼び覚まされる。
「確かに、白石さんだね、」
と返した。
学校では常に友達がまわりについていて、遊びまくっている、陽キャの一員。それが私の印象なのだが、
彼女が図書館に居るのは不思議だ。この図書館には彼女の望むものが置いてあるとは思えない
確かに若者向けのラノベや漫画は最近取り揃えるようになってきたが、この図書館にはファッション雑誌や写真集の取り揃えは悪い、なんなら週刊誌は一つも置かれていない。
彼女は図書館に、何をしにきたのだろう?本を借りにきた?どんな本を読む?どんな本を借りる?
私は興味が自分の中で生まれ、だんだんと大きくなるのを感じた。
不思議なこともあるんだねーと呟いている夏菜に両手を合わせて頭を少し下げ
「ごめん、借りたい本があったんだった!取ってくるから待ってて!」
ええーと言いながらも「早くしてよー」と優しく返してくれた。
私は夏菜に白石さんをつけることをバレないように右奥の棚から入って白石さんの後をつけることにした。
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