💰チトセの日記⑦


 なんだかダリスの目がキラキラしていた。

 宝物を見つけた男の子、みたいな感じ。


 スタートアップとかスモールビジネスの話をしたあの日以来、ダリスはちょっと変わった。


 これまでは、どうやったら効率的にダンジョンでモンスターを狩れるかしか見えてなかったように見えてたんだけど、最近は色んなことを調べたり、人に話を聞きに行ったりしていた。


 そんな中で、彼なりに良いアイデアが浮かんだみたい。


 昨日はみんなでダンジョンに行ったんだけど、モンスター狩りはそこそこに、小さな沼地でヘビのようなトカゲのような、ちょっと見た目がグロテスクなモンスターの鱗を集めた。


 モンスターをマヒで動けなくしてから、ハンティングナイフで鱗をはぎとるの。

 ヨミお姉さまの魔法が大活躍!


 鱗をはぎとるのはジュハくんの役目。

 モンスターをなるべく生かしておくために、回復魔法も使うことになって、ジュハくんは一人二役の大活躍!


 ボクもトカゲの鱗をはぎとるのに挑戦したんだけど、結果はざんねんだった。

 ちょっと力をこめたら、あっという間にトカゲがチリになって消えちゃって。


 力加減がものすっごく難しいの。

 ジュハくんは器用に何枚も集めていたけど、ボクは三匹挑戦して一枚だけ。


 ボクだけあんまり役に立てなかった。

 なんだかちょっとくやしい。

 


 赤黒いグロテスクな鱗が山ほど取れた。

 パンパンになった袋を手に持ったダリスが、楽しみにしててくれよ! とか言ってたけど、ヨミお姉さまもジュハくんもドン引きしてた。


 気持ちはとてもよくわかる。


 今日はお休みってことで、ダリスは部屋にこもって何かやってる。

 たぶん、あの気持ち悪い鱗をどうにかしようとしてるんだろうけど、部屋に入れてくれないから様子がわからない。


 声をかけてくれれば、手伝ってあげたっていいのに。

 一人で全部やろうとするのは、ダリスの性格なんだろうか。



 明日になったら、見せてくれるかな。


 

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