偽文学少女の佐藤さん

さとうきいろ

20首連歌 偽文学少女の佐藤さん

ロリポップ 女児たちの持つ色彩を我も持てんと持てばパライソ


感情を擬人化させてアパートに残して今日も出勤します


気になっている男の筆名がクソダサいことを知ってしまった


詩や歌やものがたりなど材料に母さん今日はハンバーグにして


久々に会社に行けば大きめの書店がひとつ閉店していた


好きじゃない上司はやけに手土産のセンスが良くて困ってしまう


どうでもいいMTG中に夕立ちがはじまり、そして終わっていたらし


忽然と連続殺人犯めいた手つきでイクラをプチプチ潰す


わたくしは偽文学少女の佐藤さん 罪と罰なら漫画で読んだ


肉体は食べたもので出来ている いつか行きたい麺類の星


すべすべの広い背中に俊太郎の詩など写してみたくなりたり


人類は生きるために本を読む わたしは本を読むため生きる


水槽が割れる想像止まらずに「エイの目の位置知っていますか?」


死ぬまでに読みたい本を積み上げたバベルを登るあなたと登る


運命に形があるなら猫的な形でたまにすっごい伸びる


世界中水に浸されたとしたらここからペンギン盗んで帰ろう


平日の午後に乗りたいスワンボート 知らない漢詩を適当に読む


ときどきは笑ってあげる 神妙にこの文字を読むあなたのために


純粋な文学性を知りたくて環八あたりを走って転ぶ


ペンギンと村上春樹を盗み出しふたりで帰る家があること

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

偽文学少女の佐藤さん さとうきいろ @kiiro_iro_m

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ