第11話 眩暈再び

私達は、それぞれの大学へ進学し


片道2時間の遠距離恋愛に入った



私達は

恋をした


春も夏も秋も冬も・・・どこを切っても凌太だった


遠距離なんて

全く気にならないくらいに

お互いの家に

行ったり来たりしながら

毎日

メールや電話をしながら

恋を続けた


二年半くらいは・・・


そうしているうちに

お互いに

バイトや就活・・・色々と忙しくなって

会える時間は減っていった


根っからのわがままな性格の私は

そのストレスから

凌太にあたってしまう日も多く


ただの友達だって言っても

女友達の事で嫉妬して・・・感情的に怒鳴った


「洗面所にピアスあった」


「ああ、この前友達が泊まってったから」


「女の子のピアスだったよ」


「うん、女の子もいたから」


「平気な顔で言うね」


「えっ?だって友達だもん

隠す方がおかしくない?」


「隠す隠さないじゃなくって、普通は泊めない」


「一人じゃないよ

そいつの彼氏も一緒だったし」


「でも、どう思ってるかなんてわかんないじゃん」


「分かるよ」


「どうして?」


「だから・・・彼氏一緒だったっていったじゃん」


「最低」


「どうして最近そうなるんだろうね

探してない?喧嘩の種」


「凌太が悪いと思う」


そう言って私が泣くから

その度に

彼は黙り込み

話が終わる


喧嘩ではない


喧嘩にもならない


凌太は優しいから

ただ私が一方的になって

彼はそれに・・・呆れて・・・疲れてしまっているのかもしれない


こんなはずじゃなかった


今日はとうとう言ってしまった


”こんなに淋しい思いするなら

付き合わなければよかった!!”


彼はまた

黙り込んで・・・


今日は初めて

彼の方が電話を切った


まさか

こんな日が来るなんて


凌太に嫌われてしまったのかも


私達

もう無理かも・・・


涙が止まらない

涙が・・・涙が・・・


せっかくやり直したって

人は簡単には変われない

一瞬

反省して

私はしおらしくなってはみたけど

結局は変わらない

私の性格


自分自身が情けない


その時

ふと思った


結婚までたどり着けた彼女は

こんな時

どうしていたんだろう?


彼女は確か

もっともっと遠くにいて

私達よりも遠距離だったはず・・・

なのに

彼女は凌太とあの日から付き合い始めて

大学を卒業し

就職して

プロポーズまでされて・・・

やっぱり

縁ってあるんだな

赤い糸は私にはつながっていない

彼女につながっていて

今は私がその間で無理やり立ちふさがっている


凌太は私じゃない

私じゃ幸せになれないんだよ・・・


私は凌太と付き合い始めたころに撮った写真を見る


凌太はあの人となら幸せになれる


普段、あまり泣かないから

泣きすぎて頭痛がしてきた

痛い

痛い


痛い・・・


すると

眩暈がして

強く目を瞑った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る