不沈監獄絶望島

@k0905f0905

第1話

蠅が一匹目の前を飛んでいた。

風は全く吹いていない。

蠅の羽音に耳を傾けながら、和馬十四郎は

五月蠅い蠅の羽音だけを消そうと

蠅を凝視していた。

「№67542。出ろ」

看守がやってきてカギを小うるさく鳴らして

開けた。

ここは絶望島第十二分室。

異世界の海に浮かんだ要塞のような島だった。

ここには主に政治犯が収容される。

十四郎の罪は国家転覆を想像しただけという

むちゃくちゃなものだった。

十四郎は正真正銘、全知全能の神ゼウスの

末裔でその能力をすべて受け継いでいたが

それでもこの監獄には全く歯が立たなかった。

十四郎は気だるそうにゆっくりと立ち上がると

採光窓から差し込む光に眼を遮らせながら、

廊下に出た。





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