竜宮の乙姫と亀の贈り物-玉手箱の秘密

緋色有機@休業中

亀の恩返し

昔、ある小さな村の浜辺に住む漁師がいました。ある日、漁師は浜で子供たちが亀をいじめている光景に出くわしました。心優しい漁師は、亀を助けることに決めました。


漁師は子供たちに亀を買い取り、大切に保護しました。そして、海に亀を放してやりました。喜ぶ亀は、その場から姿を消してしまいました。


しかし、2、3日後、驚くべきことが起こりました。亀が再び現れ、漁師を背中に乗せて海中の竜宮へと連れて行くのです。竜宮とは、美しい海底にある宮殿で、そこには美しい乙姫という姫君が住んでいました。


竜宮に到着した漁師は、乙姫から温かく迎えられました。乙姫は漁師に様々なご馳走を振る舞い、楽しい時間を過ごさせてくれました。


しかし、しばらくして漁師は自分の村に戻ることを望むようになりました。乙姫は漁師に「帰る前にお願いがあります。絶対に蓋を開けてはなりません。これは私たちの秘密の箱です。」と言いました。そして、乙姫は漁師に玉手箱を手渡しました。


漁師は玉手箱を大切に持ち帰り、亀に乗って元の浜辺に戻ってきました。しかし、漁師が戻ってみると、地上では700年もの歳月が経過していました。漁師が知っている人々は誰一人としておらず、驚きました。


漁師はこれからの生活について考えました。彼は玉手箱を貴重な品として扱い、豪商に売ることにしました。玉手箱は思いもよらぬ高値で売れたのです。


売り手になった豪商は、つい中身が気になりました。彼はついつい玉手箱の蓋を開けてしまいました。すると、中から煙が出てきて、豪商は突然老人に変わってしまいました。豪商は貪欲さが報いられたのです。


一方、漁師は玉手箱を売った代金を全て漁の先物相場に注ぎ込んだ資金は、漁師の勘の鋭さと運の良さによって何倍にもなって帰ってきました。漁師は大いに喜び、豊かな生活を送ることができました。


彼は新しい家を建て、家族や友人たちを招いて楽しい宴会を開きました。美味しい魚料理と豊かな物語が、笑いと歓声に包まれて広がりました。


漁師はまた、貯金をすることも忘れませんでした。彼は海への感謝の気持ちを忘れずに、海に捧げる一部を貯めていきました。そして、自分の村の人々のためにも貢献しました。


時が経ち、漁師は年を取りましたが、彼の心はいつも若く輝いていました。彼は海を愛し、自然と共に生きる喜びを知っていたのです。


ある日、漁師は浜辺を歩いていると、亀が再び現れました。亀は優雅に頭を上げ、漁師に感謝の意を示しました。そして、漁師に海の平和と幸福を願い、静かに去っていきました。


漁師は亀の姿を見送りながら、自分の人生の幸運と喜びに感謝しました。彼は亀に助けられ、竜宮の乙姫と出会い、幸せな生活を築くことができました。


漁師はその後も海に通い、大漁を祈りました。彼の漁は常に豊かで、村人たちは彼の恵みに感謝しました。漁師の物語は村中に伝わり、彼は尊敬と称えられる存在となりました。


そして、漁師が亡くなった後も、彼の物語は語り継がれました。彼は地元の英雄として、勇気や善意、そして海との絆を象徴する存在として村人たちの心に生き続けました。


こうして、漁師の物語は昔話となり、後世に伝えられました。それは単なる財産や富の物語ではなく、人間の心の豊かさと善意の力を讃える物語として、世代から世代へと語り継がれていくのです。


[おしまい]

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