第6話 白衣を着た死神

 第5話からの続き


 私がお世話になる集中治療室は映画やドラマで見るようなガラス張りの個室ではなく、広いフロアにカーテンで間仕切りをしたものでベッドは3つほどが離れて置いてあるようでした


 その隣には無菌室のようなガラス張りの部屋があり、その時は誰も入っていませんでした


 私のベッドまわりのカーテンは少し開けられていて看護師さんとお医者さんが常に見えるようになっており、ナースコールをしなくても声をかけるだけですぐに来てくれる状態でした


 ベッドからは仕事をする様子が少し伺えて

たくさんある事務机で誰かしらがPCを覗いたり電話を取ったりしています


 ICUの看護師さんは動きやすいジャージみたいな服装でいわゆる白衣ではありません

 冬の真中だったのですが暖房も効きすぎるくらいで皆さん半そででした


 常に2人が私についてくれてそれは至れり尽くせりです


 点滴の管を何本もじゃらじゃらつけて胸や足には心電をはかるものを貼り付け

尿管には管を通して尿をとるのですが動けないというほどではないけれど

とにかく人形のようになされるがままに身を任せていた感じです


 一通りのことが落ち着いた頃、白衣を着た一人の看護師さんが私のベッドわきにやってきました


 その看護師さんは上から顔を覗き込んで

「ここには何で運ばれてきたか知ってます?」と聞いてきました


 何でそんなことを聞くのだろう?と思ったのですが

「心不全で運ばれてきました」と素直に答えました


次に

「ご家族は知ってるの?」と聞くので


少し間をおいて

「主人は知っています、先生と話ました」と、小さな声で答えました


すると

( ´_ゝ`)フーンっていう感じで

ねぇねぇ今どんな気持ち?って言いそうな顔をしています


 私はベッドで横たわりながら

何なんだろう?何が言いたいんだろう?

 この状況で聞く?

 ひょっとして死神なんだろうか?

 でも鎌も持ってないし、骸骨とかでもないし、アニメとかに出てくるビジュアルとは全然違う


 白衣を着た可愛らしい看護師さんなんだが?


 名札を見ようと思っても顔を上げられないし、

それだけ言ったら満足したのかすぐに居なくなったので

一体あれは何だったのか


 担当のジャージの看護師さんに聞こうかとも思ったのですが

そんな人いないとか言われたら怖いので聞けなかった


 入院中ずっとその人のことが頭から離れませんでした












ここまで読んで下さってありがとうございます

※驚かせてすみません、現在はほぼ普通な生活を送っております<(_ _)>

次は元気になっていく話を書きたいのでまだ少しつづきます

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