続・一般筋肉作品

「その筋肉 触ってもいいですか?」 夏の恋

【季語】

 夏。どストレートに夏。

 この句は「夏の恋」だから成り立つのです。これが春や秋、冬だとダメだということが、解説を読むと感じていただけると思います。


【筋肉解説】

 「月が綺麗ですね」とは、夏目漱石が残した言葉。「あなたのことが好きです」と直接言わずに、相手に好意を伝えるものです。

 これが、マッチョになると「その筋肉、触ってもいいですか?」という言葉になるのです。

 いまいちピンとこない方のために、詳しく説明いたしますと、「その筋肉、触ってもいいですか?」=「素敵な筋肉ですね」=「あなたって素敵ですね」=「あなたのことが好きです」こうなるわけです。

 そんな言葉を言われたら――しかも「うわー、すごーい!」とか言われながらさわられてしまったら、マッチョはイチコロです。どんなに体を鍛えても、恋のパンチにゃめっぽう弱い。それがマッチョってもんです。知らんけど。


 さらにこの句には、変わった解釈の仕方があるのです。


 「筋肉」は、どんな読み方もできるフレキシブルワードだということは、前回お伝えした通りです。ですから、「筋肉」をどう読むかによって、情景も変わってくるのです。そうですね、例を挙げて説明してみると……。


「その筋肉うで 触ってもいいですか?」

 タンクトップから見える自慢の上腕二頭筋が、ありありと浮かんできますね。

「その筋肉からだ 触ってもいいですか?」

 腕だけでなく、全身ムキムキであるということが自ずと伝わります。

「その筋肉あし 触ってもいいですか?」

 おそらくこの彼は短パン。しかもデニムの。そこから生えている足の太さまでイメージできるではありませんか!

「その筋肉大胸筋 触ってもいいですか?」

 このパターンは言葉を発している側にも、相当な筋肉知識があることがわかります。場所は筋肉舎ジムなのかな? と想像が膨らみます。


 このように、この句は「筋肉」をどのように解釈するかによって、読み手に様々な可能性を与えてくれるのです。

 

【娘(姉)の査定】

25点。才能ナシ。


【娘(妹)の査定】

42点。凡人。

「イメージできるではありませんか!」の言い方がなんかむかつきました。

本当は60点くらいにしようと思ったのに筋肉解説を見て点数を下げました。

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