板チョコのごと腹筋 夏の海

【季語】

 夏の海……夏は大勢の若者たちが海で遊ぶ姿が印象的です。青い海と白い雲。鮮やかで健康的で、ザ・青春のイメージを持っている季語です。


【筋肉解説】

 板チョコのごと(ごと=のような)腹筋と書くだけで、十分に鍛え上げられたマッチョ――上半身裸で黒光りする六つに割れた腹筋。ニカっと笑う歯はめちゃくちゃ白い――の姿を思い浮かべることでしょう。

 と同時に、読み手には「あれ? どうしてマッチョは上半身裸で立っているんだろう?」と疑問符が浮かびます。読み進めていくと、「ああ、夏の海なのか。だったらマッチョが上半身裸で、板チョコのような筋肉を見せているのも納得だ」となるわけです(ならんだろ)。

 さらには「夏の海ってことはたくさんの人がいて、板チョコマッチョも一人ではないんだろうな」「板チョコマッチョが歩くとみんなが振り返り、板チョコマッチョも内心嬉しいんだろうな」そんなストーリーも頭の中に広がっていきます(いかんだろ)。


 初心者が破調(*1)を詠むなんて百年早い。そんな声がテレビの向こうから、そして私の後ろにいる先生夏井先生より厳しい娘から聞こえてきそうです。

 でもいいんです。この俳句は破調にすることで、物凄いマッチョが目の前にいるという緊張感をも表現し、それと同時に一般人とマッチョのアンバラ……すみません、自分でも何を言っているのかわかんなくなってきました。


(*1)五七五の定型を敢えて崩し、異なる文字数で表現する方法のこと。初心者は大体失敗するから手を出してはいけないと夏井先生がさんざん言っていました。


【娘の査定】

 29点、才能ナシ。

(どうして今回もこんなに点数が低いのかと尋ねたところ)え、だって……(苦笑して去っていきました)

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