蝉時雨 大胸筋に 汗きらり

【季語】

 蝉時雨せみしぐれ……蝉が一斉に鳴き始め、それがまるで時雨が降ってきたように大音量で聞こえるという意味です。蝉の大音量とともに、読み手にはそのときの暑さまで伝わってきます。夏の季語。


【筋肉解説】

 暑い。とにかく暑い。蝉がこれでもかと大合唱するからさらに暑く感じる。トレーニング中だと、もう汗が止まりません。でもそんなとき、マッチョって大抵たいていタンクトップ姿か、上半身裸じゃないですか。

 そうなると、珠のように光り輝く汗が大胸筋に浮き出てくるのです。それがきらりと光ることで、「あれ、俺の筋肉って宝石を生み出せるんだっけ?」と錯覚するのです。

 汗が光る様子を「汗光る」と書かずに、「汗きらり」としたところもいじゃありませんか。筋だけに。しかも片仮名の「キラリ」ではなく平仮名の「きらり」にしたところに、まるで少年のような純粋な心が映し出されているような、いないようなっていうか、映し出されているはずがありません。

 暑さの中に喜びを見つける。そんな夏の情景を詠んだ一句。

 僕のことではありませんよ。まだまだマッチョには程遠い人間でございます。


【娘の査定】

 40点。凡人。何が錯覚よ!


【お詫びと訂正】

 何気なしに調べてみたら、「汗」も夏の季語であることが判明しました。つまりこの作品は季重なり。一つの句の中に季語を二つも入れてしまうという失態を犯しました。


【再査定】

 素直に娘に報告しましたところ、「9点減点」という判定がくだりました。

 今回の俳句、31点。才能ナシ。

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