春夏秋冬、三度繰り返せども金鳳花は咲かず
甘木
芽は一つを除いてすべて摘まれ
「アナタ、生まなきゃよかった」
僕より拙い日本語で母はハッキリとそう言って、僕の前からいなくなった。生まれた頃から環境は劣悪で、父もおらず、女手一つで育ててきた母にも限界が来たのだろう。どうせすぐに帰ってくると思っていた。母が家にいないことなどよくある事だったので、いつものように何も食べずに座って待っていた。
二、三日経った頃、床にバタン、と勢いよく倒れた。
とても、眠い気がしたので寝ようとした。
視界も徐々に暗くなって、睡魔の海に飲み込まれそうになった時、玄関が開いた音がした。
誰かの怒鳴り声が聞こえた。
「お……かぁ…………さ……ん………………?」
飲み込まれる寸前、視界が映したのは知らない顔の、青い服を着た二人の男だった。
そして、僕は愛を失った。
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