「第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部」
市洞めり
ポケットのガムを放り込んだ、一人 ミントの香りで無香のあの子の姿が浮かぶ、二人
毎日、好きなあの子の前では口臭を気にしてミントのガムを口に含む。
少し寂しい一人の帰り道、ふといつも食べているそのガムをポケットから取り出して口に放り込むと、好きなあの子の姿が頭に浮かんだ。
彼女からはミントの香りなんてしないのに。
僕の身体が、頭が、勝手にミントとあの子を結びつけていた。
少し寂しい帰り道、だけど独りではないように感じた。
「第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部」 市洞めり @ItihoraMerry
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