第9話

お互いに目線を見つめ合うと目を開けたままキスを交わした。絵麻が一層僕にしがみつくように抱きしめてきたので苦しいというと笑っては僕を押し倒して何度かキスをして、衣服を捲し上げて乳首を舌で音を立てながら舐めていき腹を唇でなぞりながら下着を下ろしてきた。


「ふっ奏市のここ大きい。もうっているし。舐めていい?」

「いいよ、好きにしろ」


彼女は僕の陰茎を先端から舐めて口に含ませながら全体を覆うように舐めていく。彼女の頭を押さえながら舐められている感触をひりひりと鳥肌が立ち始め、声を漏らしては彼女があやしく笑いだす。いつぶりか覚えていないが女性にこうして触れられると自然と身体は思い出すものなのかと、改めて忘我が現れてくるのだと実感した。

身体を起こして絵麻をベッドへ促して衣服を脱がせるとピンクベージュの上下のランジェリーが視界に入り胸元を弄りながら下着を脱がせると僕の手を掴んで陰部に押し当ててきた。


「最初に、指でして。そのあと○○〇を挿れて……」


中指を口の中の唾で濡らし陰部の周りを丁寧に撫でていき次第に濡れてきた膣の中に指を入れてさすっていくと彼女は僕を見ながら声をあげてきた。


「あんた、うまそうだね。これだけで感じさせてくれるなんて手馴れているじゃない」

「黙っていろ。ぐちゃぐちゃ喋るな」

「少しくらい話しながらしようよ。ねえ、小学生の時実家の近くにある公園のトイレで私達がしたこと覚えている?」

「なん……だっけ?」

「トイレの中に入って鍵を閉めた後、お互いが下着を下ろしてあそこを見せあったの」

「それで何か言っていた?」

「そこを触ると何かが感じるから触り合って確かめようっていってきたの。奏市が率先して私の股間に手を入れてきてさすってきた……ああ、そう。今みたいにそういう風に無心になりながら触ってきていた」

「覚えていない。その頃から俺の事好きだったのか?」

「そうかもね。興味があったから……してきた。もうれてきていいよ」


バッグからコンドームを取り出して袋を開封しようとすると絵麻が取り上げてつけてあげるといい陰茎にゆっくりと装着させると僕は更に興奮してきて彼女のしなやかな肢体をあちこち弄っていった。両脚を開き膣の中に陰茎を入れると絵麻が起き上がって僕に抱きつきながら身体を上下に揺すってきて時々唇にキスをしてはこう言ってきた。


「あんなに小さかったのに今こうしてあんたを抱いているのが不思議。でもこんなにも気持ちよくなれているのが嘘みたいに嬉しい」

「やっと……こうしてお互いが大人になったんだな……」


その後僕が仰向けになり絵麻が肩に強く両手を掴んできては淫らに流れる汗にまみれて腰をくねらせ揺さぶってきた。今度は僕が彼女の上体に乗せるように身体を挟んで腰を振るとさえずりの様に僕の名前を呼びながら身体を反り返していた。


「奏市、もっと抱きしめて……うん、そうだよ。ああ……このまま溺れていきたい」

「俺……先にイきそうだ」

「いいよ、イって……」


ベッドのスプリングの軋む音が激しくなり、絵麻の潤む目やゆがみながら苦しむ表情を見ていると躍るように心が高鳴った。お互いが絶頂になると同じタイミングで喘ぎ声を出し、身体の動きが止まると彼女の顔を両手で触れて眩暈のように浸透する頭をもたれて自分の身体を横に倒した。


「どうだ?イけたか?」

「はあ……うん、イけたよ。うちら初めてなのにこの相性はいいんだね」

「みんなに知られたらきっと殺されるな」

「それは言わないよ。もう大人なんだし暴露したところで何の得もしないでしょう?」

「そうだな。お前もセックスうまいな」

「それはどうも。……ねえ奥さんと私、どっちが上手?」

「多分お前かもな。ってか知らねえし」

「あはは。良いんだよ正直に言っても」

「それは死んでも言われないな」

「悪魔」

「今したばかりなのに悪魔はないだろう?」

「いや。悪魔みたいに気持ちが奪われたみたいだった。逆に嬉しかった」

「もう帰ろう。みんな待っている」


しばらく余韻に浸ったあとに自宅を後にして大仙市に向かった。市内に入った頃には夕方になっていたので一般道路が渋滞していた。

絵麻は幼い頃に抱いていた僕への思いが今に至るまで抱えていたと言い、ずっと好きでいつか告白したいと語っていた。今日僕に抱かれて心身が満たされて自分の中に隠れていた孤影が消化されていったようになったと言っていた。


彼女には申し訳ないが一瞬だけ密に深く接触したいだけの愛欲だった。それほど好意を抱いでいたわけではないが、本人が満足している表情を見ていると二人の行為が偽善者になっていないことが明確になった。

こうして一時いっときの時間を過ごして僕は自分の身が僅かばかり許してもいいのかと考えていた。響をさらってきたことには誰もが許してはくれないが、今までできなかった一人の時間を取り戻せたかと思うと己への腹いせを引き起こした行為が失策だったなどとそこまで思えれなかった。


航大の自宅に着き車から降りようとした時、絵麻は元気でいてくれと声をかけて僕の元を去っていった。

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