第45話 終焉の始まり

【涼ちゃん、こんな朝早くどこ行くの?】


【出張…起こしちゃった?】


るい、寝ぼけてフラフラと起き上がってきた。


【何か食べてく?】


【いや、出先で食べる。行ってきます!】


【気をつけてね】


立ち止まり、るいを抱き寄せて、チュ😚


【涼ちゃん…ありがとう】


【じゃ、行ってくるね】


さきの予測ではあと三日、

これが最後になるかも知れない。


もう迷わない!守りたいのは大切な人達だ!


ただし、どうしようもない場合のみ!


俺はさきのTAの拠点へ。


着いた。さきはもう来てる。


【るいにバレてない?女の感は鋭いよ】


【大丈夫。それにしても、この規模…凄い!】


これが、ブラックホールを生み出すのか!


【涼さん、気をつけて、触れないで】


【解った】


さきがみんなに紹介してくれた。

随分たくさんの人達が活動していたんだな。

さきが、


【みんな、今日までほんとありがとう。もうこの装置にかけるしかないから。各自帰って家族との大切な時間を過ごして。お疲れ様でした】

………誰も動かない………


【はい、本当に本当に解散!ありがとう】


………誰も………何も言わずに………


【聞こえなかったの?家族との…】


【さきさん、らしくないですよ。俺達最後まで付き合うって言ったじゃないですか】


【そうですよ、それにこの装置一人で操作出来ませんよ】


さきが、


【もう、馬鹿なの!手柄みんなのものと伝えるよ、それに私はもうリーダーでもない、結局最後までダークホール解明出来なかったんだから…】


俺は、始めてここに来た。これほどの勇者達…

あと僅かってのに、俺は何してきたんだ…

すまない…任せきりだった。


【さき、お前、リーダーづらするな!】


あの人、所長か…


【所長、でも…】


【あのな、みんな守りたいんだよ。世界を!手柄とかどうでもいいんだよ!解ってやれ!そして最後は…

考えないことだ!最後とかはな】


さき、うつむいて、


【…はい】


俺は、


【すみません、こんな名誉ある場所に初心者の…】


所長が、


【君のことは聞いているよ。最初のダークホール封じ込めたってらしいな】


【いや、記憶になくて…すみません】


【その力、使うなよ!次は記憶どころじゃなくなるぞ。でも、詳しく解明するためにも協力してくれると助かる】


【俺で良ければ…お願いします】


【さっそく、ダークホールについて説明する】


俺は所長についていった。解析室らしい場所に。


【君は大抵のことは知ってるらしいから、単チョク聞く。移動中…なんというか…】


【時空の狭間ですよね、移動中でかまいません。その移動中に無数のダークホールが吸い込まれて…見ました、確かに】


所長は、


【何故、君は吸い込まれなかった?】


そう言えば、何故!この所長の見解、やはり只者ではない。


【何故でしょう?】


所長は、悩んで…少し間をあけて、


【覚悟して聞いてほしい。君は質量を持たないんじゃないか?ある条件下では】


質量?


【つまり、私の見解では、時空の狭間では君は質量ゼロになる。そのダークホールが吸い込まれると時に君は影響なかった。普通はありえない】


???


【解らなくて当然だ。ただあと少し解明出来る手がかりになる。君の経験は必ず役に立つ】


【解りました。経験を伝えることしか出来ませんが正確に何とか伝えます】


【頼むぞ、情報統括部全員来てくれ!】


それから、俺は覚えている限り、全てを。



ふ〜、疲れたよ。


【涼さん、ありがとう。今日はもう帰って】


もう?


【あの、出来ること他にはないの?】


【もうじゅうぶん。るいに会いに行って】


とりあえず、さきがそういうなら。


【さき、ダークホールの様子は?】


【変わらない。外れてほしいけど予定通り】


【解った。何か出来ることあったらいつでも】


るいに会いに行き。というよりも、帰る。

バレてないよな。出張早く終わったと言えばいいか。


【るい、ただいまー】


【あれ?涼ちゃん早くない?】


【早く終わった!シャワー入る。汗だくだから】


【ちょっと待って!クンクン🐕】


【何で嗅ぐんだよ、汗臭いって!】


【なんかさ、涼ちゃんの汗の匂い、好きになった】


【おかしいよ、ユキもるいも】


【安心するね、それにそんなに臭くない】


【とにかくシャワー浴びる】


臭いよ、絶対に。ユキに対抗心あるのかな?


ふー、さっぱりした。


【涼ちゃん、検査結果出てるよ。見ちゃった】


【何だって?何か見つかった?】


【特に何もないって】


【そうか、じゃ、飯でも食いに行こうか?】


【早めのディナーだね】


さき達との接触防ぐため、反対の店に。

こんなことしてて、いいのかな?


【涼ちゃん、腕組んていい?】


【いいよ、甘えたいのかな?】


【うん、そういう気分なの】


るい、可愛いね♥


【涼ちゃん、この前のことね、話しかけたよね?】


【何か言いかけたこと?】


【実はね、赤ちゃん…】


【えっ?赤ちゃん…】


【…うん、出来たみたい…】


【………】


【涼ちゃん?…困るよね…ごめんね】


【るい、何言ってるんだよ!驚いたけど嬉しい!】


【ほんと?生んでいいの?】


【当たり前だろ!元気な赤ちゃんなら、男の子でも女の子でも!】


【ありがとう😭ありがとうね。涼ちゃん😭】


【泣きすぎだよ、るい!】


………俺は嘘をついた………


この先、ダークホールを封じ込めなければ…

るいの幸せを………

るいだけじゃない!玲奈の子供も………


何をした?俺達が、何をした?何が原因でこうなったんだ?

封じ込めてやる!絶対に守らないと。幸せを壊させやしない!!


【涼ちゃん、どうしたの?大丈夫?】


【えっ、?どうかした?俺】


【見間違えたかな?今、涼ちゃんの周りを不思議なオーラが、とても強く青色のオーラが、何だろ?】


その時、さきから連絡が…どうした?


【涼さん、今こっちの装置が、とても強く反応して、何かダークホール以外の凄い力が働いて、所長が急いで計算してるけど、そのエネルギーが原因らしく少しダークホールの規模が弱まってるの。普通増幅するはずが減衰…って、あっ、もしかして、るい、そばにいた?ごめん、今の話何とかごまかして!】


ごまかしてって、どうしよう…


【さき、何だって?】


【…えーとね、んーと、モデル、そうモデルをね、るいにもやってほしいって!】


【モデル、私が?無理だよ〜って、なんで涼ちゃんに連絡してくるの?】


【あっ…それは…あのね、俺がヤキモチ…】


るいは、じーと見てる。バレそう…


もー、チュ😚


【涼ちゃん…みんな見てるって、もう…】


【るい、可愛すぎてさ、ごめんね】


【…ありがとう…嬉しい】


何とか、ごまかせた?


【子供のためにも、私も働かないとって思っていたから、モデルなら負担かからないから。マタニティモデルってのもありかな?】


突然なので、モデルって言ってしまった…

さき、何とかしてくれるといいな…

無理かなー、るい、可愛いけど小さいからな。


レストランに着き、俺はトイレって感じで、

さきに連絡を、


【さき、突然悪い、るいもモデルやらせて】


【涼さん、何言ってるの?】


【さきの連絡バレないようにしたから、るいをモデルに頼む】


【だからさー、何でそれでるいがモデルなの?】


【さき、ごめん。頼む。少しでもいいから】


【何だか、解らないけど、そんな場合じゃないんだよ。楽観視出来ないよ。もしダークホール封じ込めたらね。そんときはモデルでもなんでも!】


【ありがとう!明日も行くから】


るいのところに、


【トイレ遅いよ。💩?】


【下品!るい】


【涼ちゃんのマネ!】


そんなことあったかな?

とにかく嘘つかずに済んだ。


【モデルって、何だろ?水着とか嫌だな~】


【いいじゃん、水着。るいスタイルいいから】


【涼ちゃん、そういう目で見られていいの?自分の奥さんのこと…】


【嫌だ!モデル断るか!】


【涼ちゃん、冗談!モデルやってみるよ!水着でも。稼がないとね。赤ちゃんのために】


【そんな無理しなくても、体を優先にね】


こんなこと、話していて、世界が終わったら…

苦しいな、この先の読めない世界って。


所長、さき、何か解かったかな?


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