第25話 目醒め

【涼ちゃん、とりあえず私につかまって、ユキは涼ちゃんと手を繋いで、涼ちゃん大丈夫?】


【るい、ありがとう。俺走ったから汗臭くない?】


【そんなこと、言ってる場合?早く病院へ!】


なんだよ、病院へ行くのかよ。

帰りに食事していくって言ったのに。


【るい、大丈夫だから、それよりお腹空いたよ】


【さっきから、右手を気にしてる。痛いんでしょ】


【ちょっと痺れただけ、食事に行こうよ】


俺は嘘をついた。感覚がない。でも、お腹も空いた。何か食べてから考えよう。


るいを説得してレストランに。ユキは嬉しそうに、

メニュー見てる。るいはじっと俺を見てる。

左手で食べてるからか。監視されてる気分。


それぞれ注文して、食べて。お腹満たされて…

デザートでも。


【ユキ、パフェも食べる?】


【食べる!】


俺はユキのパフェを頼んだ。俺とるいはコーヒー。


【涼ちゃん、落着いたら思い出せた?】


【覚えているのは、暗闇が迫ってきた中でお婆さんと子供を、そこから先はちょっと…】


俺の右手と暗闇、何関係があるのかな。

おっ、ユキ、気が付かなかった。手を握ってる。


【ユキ、どうしたの?】


ユキが握ってる手は右手だ。解らなかったよ。

ユキもじっと見て、るいもじっと見て、


【涼ちゃん、さきのとこ行こう!】


それが正解かもね。右手と暗闇のこと、

さき、何か知ってるかも。


さきのところに、着くとすぐに、さきは、


【なに、るい?忙しいんだけど!】


【さっきの知ってるでしょ!ニュースにも!】


さきは、テレビつけて、


【何これ?何が起きたの?】


るいは、


【呆れた!知らなかったの、それでもリーダー?】


【うっさいな、だから忙しいって!】


おい、こんなときも喧嘩するのかよ、この二人。

相性悪すぎだ。


ユキが、


【ケンカやめて、涼さんの手が…】


さきが急に、


【涼さんの手?どうしたの?】


俺の手のこと、るいが起きた詳細を伝えた。

ブラックホールもどきのことも。

さきは、


【そんなことが…!聞いたことない、それほどのことは。事実だとすれば、とんでもない能力!】


【俺は記憶ないんだよ、右手の感覚も、どうやったかは聞いた範囲でしか解らない】


さきも解らないか。仕方ないね。


【吸収と開放…この関係性かな、推測だけど、もし今後同じこと合ったら右手をかざしてみて】


同じこと!あり得るの?もう嫌だよ、あんなの。

その時は右手をかざす?天に向かって、触れるの?

記憶がないから解らないんだよ。


【涼ちゃん、私がサポートする。直るまで、右手の代わりをする】


るい、ありがとう。助かるよ。


【ユキも〜、涼さん手伝う!】


ユキ、ありがとうね。


【さきも〜涼さん体、洗ってあげる〜】


さき、何ふざけて、ほら、やばいぞ、るいが。


【さき、テメー、何ふざけてんだ!体は私が洗うんだよ、涼ちゃんに触れさせるかっ!】


るい大爆発😡


さき、悪ふざけやめろよ、刺激するなよ。


さきが、笑って、


【涼さん、こういう風に、楽しくね。何が起こるか解らないでしょ。右手のことはこっちで責任持って調べるから、ねっ♥、るい、しっかり洗ってあげて!】


【言われなくても、それは私の仕事!バカさき!、何なんだよその♥!】


【はぁー!?るい、お前がしっかりしてないから、

こうなるんだよ、バカはお前だよ!】


【さき!表出ろ!コノヤロー】


【上等だ!るい、決着つけてやる!】


おい、止められないぞっ!これ。

ユキに被害が出ないように、ユキだけでも離そう。

最悪だな、こいつら。


【ちょっと。落ち着け!二人共!】


【邪魔するな、涼!】


るいが聞く耳持たない、さきも応戦体制!


間に入った俺は、ふっ飛ばされ、壁に激突!

目の前が暗くなる…気を失った。


【涼さーん、大丈夫?、涼さ~ん😭】


ユキ、泣いてるの?心配してくれて。優しいね。

手を握りしめてくれてたの?ありがとう。

ユキの頭を撫でて、泣き止むかな?


俺、右、使ってる…右手、感覚戻ってる。


【ユキ、俺のどっちの手を握っていた?】


【😭…右かな?…涼さ~ん、大丈夫?】


ユキ、気のせいかも知れないけど、ユキの優しさ、

それが俺の右手に息吹を…ありがとう。

間違いなく感覚戻ってる!


【ありがとう!ユキ、右手直してくれたね】


ユキを優しく包み込む。思いっきりの愛情で。

ユキも嬉しそうにくっついてくる。


さきが、


【なんか、親子っていうよりも恋人みたい…】


るいも、


【涼ちゃんのこと、ユキ一番解ってるんだ…】


俺は、強い口調で、


【ユキはずっと手を握ってくれていてさ、お前達がくだらないことでケンカしてるときにさ!】


るいもさきも😔


ユキが、


【涼さん、いい匂い!クンクン、この匂い大好き!】


汗かいでるぞ、ユキ。あの時と同じだ。

子供の姿でも、ユキはユキなんだね。


俺は、すかさず、


【るい、こんなことで拗ねるなよ!大人だよな!】

【さき、ユキの能力って可能性あるかな?】


るいはうなずく。


さきは、


【ユキ、もしかしてヒーリング能力かな?】 


ヒーリングか、なるほど。確かに回復してる。

俺は見上げてるユキに、


【ユキ、君はね、俺の守護神かも、これからも、

そばにいてね、俺が必ず守るからね。俺が怪我したら、その時はユキ、頼むね】


【ユキ、守護神!涼さん頑張るね】


ユキが大喜び!俺は抱き上げて、肩車を。


【るい、ユキは子供だからね】


【解ってるよ、涼ちゃん。もうくだらないことで拗ねたり、さきとケンカしない。ユキにも迷惑かけないから】


さきも、


【るいとは昔からこんなだったの。でも、ユキが怖がるなら…もう絶対にケンカしない、それと右手の様子を毎日教えて】


もう、これで大丈夫!良かった、良かった。


帰り道、るいが、


【ユキには、かなわない…】


【るいのことはもちろん、愛してるよ、それをしっかりベースに考えて、ユキもとても大事!俺にとってはるいと同じようにね】


【解った…ごめんね、涼ちゃん】


【るい、帰ったら、髪洗ってくれる?体は何とか自分で洗うから。右手できれば使いたくない】


【いいけど、感覚戻ったんでしょ?】


【ユキが、握ってくれていた右手、出来れば今日はこの状態にしておきたい。表面的な回復なのか、内部的な回復なのか。それも知りたいから】


【涼ちゃん、ユキが鋳てくれて良かったね】


【うん、大事!俺の守護神!】


るいも、嬉しそうに、


【解った。ユキ、愛されてるね!良かったね】


寝てる💤ユキ。お疲れ様。


帰ったらチーズケーキ食べようね。起きたらね。

無理には起さないね。寝顔もとっても可愛いから。

玲奈に言ってうちで預かりたいな。


【涼ちゃん、ユキがいい匂いって、どれどれ、クンクン、クンクン、汗臭っ!】


もう、いい、このくだり…

このディスりは…


















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