第20話 解明
あの時、俺は子供だったユキを抱っこして、
現れた時空の狭間。
俺と恋愛関係になる女性と何らかの理由で、
接触すると、必ず時空の狭間に飲み込まれる。
慣れたけど、疲れたよ、こんなこと繰り返すの…
ここは未来だと思うけど、俺のこと知ってる人は
いない。戻りたいな、るい。会いたいな。
ユキと歩きながら、俺はそんなこと考えていた。
【ここでいいですか?】
この喫茶店、さきと電車が止まったとき、来た。
【ご注文お決まりですか?】
【はい、ここでいいです、とりあえずコーヒーを】
【私もコーヒーで】
何から話そうか?俺のこと知らないなら無意味か。
【ところで、あなたは何故私の名前を?】
ユキ、切ないよ、いくら何でもさ。
【ユキ…ユキさんと昔付き合ってました】
【いつですか?私はあなたとお付き合いした覚えはありませんが…】
そうだよね、俺のこと解らないんだよね。
懐かしいな、あの時はユキを抱きしめて、ユキは、
※怒るわけないですよ、涙が溢れるだけです※
嬉しかったな、懐かしい想い出(思い出)
あのパーティ、もう一度行ってみたいな。
ユキと、再会した思い出の場所。
もう、来ないのかな?
ユキが心配そうに覗き込んだ。
頼む、見ないでくれ。辛くなるだけ…
【私はあなたに何があったのか解りません、でも、不思議ですね、あなたといると、懐かしいって、感じがしてきます、それに、変なふうに取らないで聞いてください…あの〜、安心する匂いがします、
何故かあなたから】
これ、ここに来る前にしがみついていたユキの、
子供のユキの言葉だ。
【安心する匂い…ありがとう】
【不思議ですね、初対面なのに、匂いってごめんなさい。失礼なこと言ってしまって】
【走ってきたから、汗臭いよね】
えっ、ちょっとちょっと!ユキ、近すぎる!
ユキが俺の首にくっつきそうな距離で…
緊張する〜何だ何だ!
ユキはクンクンと匂いを嗅いで、
【汗かいてますね、でも全然臭くないです、やっぱり安心する匂いです、男性の匂いを嗅ぐって、
へんな女ですね、私】
ユキは、続けて、
【あの、私の友人に記憶とか、このような現象とか詳しい人がいるので、会って話してみませんか?
もしかして力になれるかも】
【友人って、さきさんですか?】
ユキはびっくりして、
【何で、知ってるの?】
【さきさんはリーダーだよね、聞いてる】
【そこまで知ってるなんて…本当に過去から?】
信じてくれるか解らない。でも全て話した。
ユキにはすまないが、るいとのことも。
優しいからな、ユキ。何も文句も言わずに
聞いてくれた。たぶん信じることも難しいのに、
俺の話をすべて聞いてくれて。
【解りました、たぶんあなたを信用していいかも。
それどころか問題の解決に繋がるかも知れません、とりあえず今日は家に来てください】
【俺のこと知らないんでしょ、それはちょっと…】
【大丈夫です。知り合いも呼びます、その人にも聞いてもらうので】
ユキの優しさに甘えることに。
ユキが誰かに電話してる。
【さき、家に来てくれる?、今すぐに】
ユキの家まで歩いた。なかなか遠い。
歩きながら、横にいるユキに懐かしい感じがして、
るいには悪いが、少し緊張する。
ユキは、るいとは違い大人しい女性。
いつも気を使ってくれて、おいっ、!何?ユキ?
また、そばに来てクンクン…汗かいでるっての!
【ほんと、安心するいい匂い、大好きな匂い!】
ユキ、昔から汗の匂いに反応してたっけ?
恥ずかしいから、勘弁して。嗅がれるのやだよ。
【さっきの話、涼さん、あなたはさきって人にも会ってるってことですね。さきさんがあなたを知ってる可能性もありますね。そうだと話し早いです】
【覚えていてくれれば、いいんだけど】
ユキの家に着いた。部屋に入ると、もうさきが、
【ユキ、遅いよ。飲んでるからね、もう!】
うわっ、駄目ださきさん!これから大事な話…
【さきさん、ちょっと大事な話なので、吐かないでほしいから、酒ストップ!】
俺が言うとびっくり…さきさんが、
【この人、なんで!お酒のこと、話した?】
【私は何も、さきの名前だけ。何でお酒のこと…】
覚えていないか…仕方ない。ユキも覚えてないもんな。
【とりあえず、涼さん、全てをさきに話して】
俺は全てを話した。さきの海での出来事も。
少し笑ったりしたけど、真剣に聞いてくれて、
さきは、
【涼さん、あなたのことは間違いなく信じます、
ただ記憶が私達にはない、時空の狭間について詳しく聞きたいから、下の公園へ】
なんで公園?とりあえずさきの指示に従った。
【涼ちゃん!】
そこにるいが…るい、会いたかった!
いや、待て!るいも俺のこと…忘れて…るい?
なんだいきなり、飛びついてきて…
【涼ちゃん、良かった、会えたっ!】
【るい、覚えてくれてるの?】
【だって、ここまで追いかけてきたんだもん】
るいを強く抱きしめた!るいは俺のこと知ってる。
【涼ちゃん…汗臭いよ…ちょっと!】
【なんだよ、ユキはいい匂いって嗅いでいたよ】
【何!ー、涼ちゃん!、ユキになんで嗅がせるの?
ユキ!涼ちゃんは私のだからね!】
ユキは驚いて、
【るい、何言ってるのか解らないけど、涼さんと
さっき始めてあったんだよ、ところであなた、本当に、るい?】
【そう言えば、ユキ、私の知ってる大人の
ユキより、少し老けてる?】
ユキは、ムッとして、
【るい、なんか若返った!と思いたくないし、言いたくないけど、なんか違う!なんかムカつく!】
さきがいきなり、
【解ったーーーーー〜!!!全てのことが】
さきは続けて、
【ここにいる、るい。あなたは涼さんと同じ過去からこの未来に来たのね】
るいは、
【知らないけど、涼ちゃん追ってきたの。時空の狭間に飲み込まれるの黙って見てられない!それに、子供のユキも…ユキは?涼ちゃん?どこ?】
ここにいるユキが、
【二人して子供とか訳解らないこと言ってますけど、貴方達より私のほうが遥かに年上ですけど!、ねっそうですよね、涼さん。年上の魅力ってありますよね、何となく経験豊富っていうか、解ります?】
ユキは俺の肩に手をおいて、首元をクンクンと。
また嗅いでます?ユキ、匂い好きだね~
確かに俺の知ってるユキの中では、今が一番、
何となく惹かれるよね。大人の魅力!
るいは、怒って、
【涼ちゃん、何、ユキのほうがいいの?】
慌てて、俺は訂正!
【違うよ、るい。俺の知ってるユキの中で】
るいは、無視して、
【涼ちゃんのことは、おいといて。さき、何が解ったの?】
さきは、
【雑談終わった?あのね、普通、涼さん、るい、
過去から来たらこっちの時間の涼さん、るいはいるはずだよね?不思議に絶対に会わないと思わない?】
確かに、行ったり来たり。ドッペルゲンガーってことだね。確かに会わないね。考える余裕も無かったけど。
さきは、続けて、
【そうするとね、平行世界って思っていたけど、それは存在しないの!私達の元の世界って言っていたけど、それは元々同じ世界。だとすると、時間の部分的に繋がりで…】
俺は、遮って、
【待って、聞いても解らない。とりあえず俺とるいはお互いを認識している。俺達はここに来る前の時間に戻れないかな?】
さきが、
【もしね、推測があってたら方法は同じことをして時空の狭間が現れたらそれに飛び込むの】
それなら、ユキを抱っこして、俺達が時空の狭間に、その後にるいが飛び込んだのか?
【一つ疑問が、ユキは?大人だよね?俺が抱っこしていたのは子供のユキだけど】
さきが、
【ユキが子供に戻るかもね。ユキ特有のものかも】
ユキが、
【若返るのいいかも!それに、涼さん、抱っこしてくれるの?匂い嗅げるし♥】
るいが、ユキの前に立ちふさがる。
【ユキ、何で涼ちゃんの匂い嗅ぐの?】
【だって…いい匂い何だもん。涼さんの汗、
るい、ヤキモチ焼いてるの?涼さんに抱っこされるもんねー、羨ましいんだよね!】
【あー、ムカつく!さき、他の方法ないの、汗臭いのは嫌だけど、涼ちゃんにユキを抱っこしてもらうのはもっと嫌だ!】
さきが、大声で、
【いい加減にしなさい!あんた達、馬鹿なの?
戻れるか戻れないかってときに、呆れた!このままでいいの?ユキも、匂い嗅がないこと、解った?それにるいも抱っこするくらい、我慢しなさい!】
さき、怖ーーーーー😱
みんな静かになった。さきに従うよな、たぶん誰よりも正確にこの状況を把握してるからね。
るいが、
【解った、我慢する】
ユキが、
【解った、我慢する】
るいが、
【ユキは何を我慢するの、匂い嗅ぐこと?我慢することなんて言い方しても嬉しいことばかりじゃん!】
ユキが、
【るい、涼さんの魅力解ってないね~ほんと付き合ってるの?この匂いはそうそう出会えないよ】
【ユキ~!許さん!】
【待て待て!喧嘩しても何もならない。とにかくさきさんを信じよう!やってみよう!ね、ほら、るいも抱っこしてあげる。匂いもいいよ、ほら】
るいは、恥ずかしそうに、クンクン。
【汗臭い!何これ!】
何だよ、るい!せっかく抱っこしたのに。
意外と痩せていたんだね。軽かったな。
ユキが、ニヤニヤして、
【じゃ、今度私の番だね、涼さん♥】
るい、激高!
【ユキ、何私の番だねって!それにその♥何!】
【ヤキモチですかー、大人の余裕って欠片もないねー、やだやだ!】
【てんめ〜この、ユキ!】
もう、大変なことの前に、何この二人?
ユキ、こんな正確だった?付き合ってるとき知らなかったよ。女性は凄いね、女優になれるね。
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