第332話 スコール女とドライヤー女、バレンタインのいちゃつき
「はい、由奈さん。あーん♡」
「あーん。うわ、一気に口に入れないで?ちょっとずつ食べさせてよ。もぐもぐ・・・。」
由奈のお膝の上に、孫抱きされたぴよりんちょ。かわいいの塊。そして、孫を抱く蕩ける笑顔の由奈氏。クールキャラ完全崩壊が確定した日。
「ひよりが一人で作ったブラウニー、おいしーい?♡」
「うん。美味しくてびっくりした。すごいねひより。プロの味だよ。」
「ひゃだぁー!お店は出さないよ?ひよりは由奈さんにだから作るんだからね??」
混ぜて焼いただけのくせに俺の手柄感を強調するぴより。混ぜて焼くだけと書かれたブラウニーミックスの空き箱をゴミ箱で見つけたのに、敢えて褒めて伸ばす教育方針の由奈氏。
「ひよりも食べてみよっかな?」*おい余は食べるぞ!の顔で待つぴより。
「あ、食べさせろってことね?はい、あーん。」
「あーん♡バクッ!」*くるしゅうないぞの顔でもぐもぐするぴより。
「ね?美味しいでしょ?」
「うむ。高級しょこらっちぇ並だね♡」*自分を褒めるのに躊躇も限界もないぴより。
やりきった。ぴよりはこの一大イベントをやりきった。もう、イイ女度はマックスに近いだろう。見てみろ、このしまりのない由奈さんのデレ顔を。これじゃ、まよねいずを入れすぎたでれっでれのポテトサラダだよ。。
「じゃ、そろそろ。由奈さん♡」ムフフ
「ん?エッチ?お風呂入ってからにしない?」
「ひゃだぁ!!もー、由奈さんったらぁ!エッチは寝る前でいいの。じゃなくってぇ・・・。あーもーぅ!」コマッチャウナー‼
「んー?何が言いたいの?」
やだ、うちの亭主。鈍感すぎるわ、。この私の、、思っていることが顔に書いてあると言われ続けて早18年のぴよりが、、ここまで言っているのに気がつかないなんて!!
「マジックで顔に書かないとわからないのかちら、、」コマッチャウナァ‼
「え、なんだろう。美味しかったよ、ひより。心から嬉しかった。ありがとう。愛してるよ。」
「でへぇぇぇぇぇ!!!ちょ、やめてよ!関節が溶けちゃうじゃないのよ!!」アービックリシタ‼
そうじゃないの、、ひよりは、、ひよりは、、楽しみにしていたのよ!!
「ゆ、由奈さんからはぁ??(´இωஇ`)」
「ああ!もしかして、私からも貰えるって思ってたの!?」
「ゑ?(´இωஇ`)・・・・・じゃ、じゃぁ、、もしかして、ないってこと??」
「だって、バレンタインに貰ったらお返しはホワイトデーでしょ?」
「がびーーーーーーん。。そ、そういう・・・番狂わせが!!??」
「楽しみにしててよ。来月ね♡」
「そ、そんな、、な、泣いちゃうかも。。あ、もうダメだ、泣いているぴよりは、、涙君がもううにょっと出てしまっている。。あ、まずい、、これは、、ひっ、ひんっ、、ひぃぃーーーん。。」ビェェェェェェ・・・
貰えると思っていた。だって、由奈さんだもん。ひよりの喜ぶ顔が見たかったって、、素敵塩レモンな笑顔で、くれるって思ってた。。お城みたいなチョコレートを・・・。*こいつのリクエスト通りじゃ身が持たない。
「い、いいもんね。。ホワイトデーでしょ?・・・待てるもんね、、。ひより、ちょっと楽しみにしすぎてたけど、、お風呂に入ったら涙君、わかんなくなるし。。大丈夫だよ。。(´இωஇ`)」
「そ?あげないわけじゃないしね。お返しはホワイトデーってのは当たり前だしね。私が今日ひよりにあげるんだったら、ひよりがホワイトデーにお返しをくれるわけだしね。じゃあ、お風呂入ろっか。」
「う、うん。わがまま言わないモン。わかってたよ!常識じゃん!あー楽しみ。早く来月になんないかなぁー!!」スンスン・・・
あまりのショックに、ひよりは由奈のお膝の上で上着を脱ぎ始めた。なんならこのまま、おパンツまで脱ぎそうだった。おしりがちょっとぺろんと出かけたときに、やっと震えながら立ち上がった。全てを脱ぎ捨てて、ひよりはなんとかお風呂場へと向かう。
「あ、先に入ってて?タオルとか持って行くから。」
「あい・・・。オサキニシツレイシマス。。」
ひどい、、ひどいよ、由奈さん。ひよりは今日という日を楽しみにしていたのに。おしゃれな由奈さんのことだもん。きっと、ビックリするようなキラッキラのチョコレートをくれるんだって思ってた。
「ううん。違う。来月くれるんだから、くれなかったって落ち込んだらダメ。。楽しみにする時間が増えただけだよ、ぴより。」ジワ・・・グスン・・・
その時だった。侮ってはいけない。あの女を・・・。どんな女の子も、目線だけで落としてしまう氷の妖精さん、由奈を。侮ってはいけないんだ。。
「お待たせ、ひより。ハッピーバレンタイン!!!!」
湯船に浸かって涙君を放水していたぴよりに、奇跡が起きたんだ。
「え?・・・わぁっ!!!!???」
ぶわっさぁ!!ひよりの視界に、なんだかわからない赤いものが舞い上がる。由奈の両手からそれは放たれた。ひよりは鼻たれた。ズビ。
そして、静かに水面に落ちると、それがなんだかわかったんだ。。
「ば、、薔薇の・・・花びらだぁ・・・。」バーラガサイターバーラガサイターマッカナバーラァガァァァ‼
「どう?驚いた??薔薇風呂だよ!!」
「しゅ、、しゅごい。。ごいしゅーです。。(´இωஇ`)」
「ドッキリでしたぁ!ちゃんと用意してあるよ!ひよりにも、プレゼント。」
「ほ、ほんま、、でっか。。(´இωஇ`)」
「あはは、ごめんごめん。そんなにショックだったんだね。まじでごめん。」
「すごい、、お風呂が真っ赤になった。。」
「18本の薔薇を使ったんだ。すごいでしょ。」
「うん。なんか、金魚のいけすにいるみたい。。」
笑いながら、由奈は服を脱いで湯船に浸かった。ぐずっているぴよりが面白いから、今日はぴよりに抱っこしてもらった。ぴよりのかわいい小さな胸に頭を預けて笑う由奈。
「ははは。あー、傑作だった。ひよりのあの絶望的な顔!笑」
「だって、、だってだって!楽しみにしてたんだもん!!」
「ごめんごめん。お風呂から出たらちゃんと渡すよ。」
「チョコ!?なにくれるの!!??」
「えー、今言わないでしょ。見てのお楽しみだってば。」
「ちょ、見てきていい?」ドイテ‼
「ダメだってば。ちゃんと体洗って着替えてから!」
「うぉぉぉぉ!!なんだろ?なんだろ?買った?作った?育てた??」
「育て、、てはないよ。。それもノーヒント。」
「ふぐぁぁぁぁぁ!!たのちみ!!早く頭洗って!!」
「待って待って。せっかく薔薇風呂なんだから、ゆっくり浸かろうよ。」
「あ、そっか。薔薇のお風呂なんてお姫様みたい!!セレブみたい!ここはハリウッド!!??ピヨンセの豪邸??!!」
ひよりのHPは爆上がりした。元気いっぱいに、薔薇の花びらを飛ばしたり、由奈の頬に貼り付けたりした。頭も体も、いつもより丁寧に洗ってもらった。ちっぱいにも薔薇の花びらをつけて、大いに笑った。
待ちきれないぴよりは、まだ髪の毛をタオルドライしている由奈を置いて、先にお風呂から出ると、ペタペタと走ってリビングへ行ったんだ。
「テーブルの上にあるよ。」
「わかったー!」ペタペタペタ‼
そして、ドSな由奈のドッキリはまだ続いていたんだ。
「・・・・・・・・・・・ゑ?(´இωஇ`)」
テーブルの上には、チロルチョコが1つ、置いてあったんだ。
チョコガ・・・チョコント・・・
続く。
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