第231話 ひよりの心配をしているときが一番全力で生きている実感があるんです。

「ひよりぃ、、やっと追いついた。。」

「由奈さんっ!ソフトクリームあったの!ひよりと半分こしよ♡」

「お昼食べてないのに…。まぁいいか。」


 さっきまで悲鳴をあげていたのに、ソフトクリームの行列に並んでいるひよりがニコニコしていて可愛いから怒る気にならず、由奈は考えた。


 今、お腹いっぱいにさせてしまおう。さっき食べたフランクフルトに、今買っているソフトクリーム…。私が作ってきた焼きそばパン。そうだな、あとは…よし。


「ぴよちゃん。」

「なぁに、ゆなちゃん♡」

「ポテト、食べる?」

「え、食べる♡」

「じゃあ、あそこで買ってくるから、ソフトクリームを買ったらあそこに見えるベンチにいてね?」

「あい!わかった!」

「勝手にいなくならないでね?迷子になったらすぐに連絡すること。」

「あい!わかったー!」


 心配性?口うるさい?はっ、なんとでも言え。ひよりの行動をよく知ってるからこそ、このくらい言い聞かせないとダメなんだ。迷子になって淋しい思いをしたら、せっかくのデートが台無しになってしまう。今日はひよりのうるるんは封印だ。


「過保護でなにが悪いっ!!」

*誰になにを言われたわけでもなく、自分が間違っていないと答え合わせしていた由奈。


 一人でフライドポテトの売店へ行くと、少し並んで注文をする。

「フライドポテトと、あと緑茶2つ下さい。」

「あ、ひより、オレンジジュースがいい。」

「え、あ!?いつの間に!」


 気がつくと、ひよりがソフトクリームを食べながら隣にいた。座敷わらしのごとく…。


「ほら、やっぱりだ。ベンチにいてって言ったのに。」

「だって由奈さんといたいもん。迷子になってないから良いんだもん。はい、ソフトクリーム。」

「いつかハーネスとリードを買ってしまいそうで自分がこわいよ…。」

「ひよりはそれ、喜んじゃうかもしれないから自分がこわいー♡」


 懲りない女、ぴより。フライドポテトを買い終えると、近くのベンチに座る。


「ちょっと早いけど、お昼ごはんにしよう。ていうか来たばかりなんだけど。」

「いぇーい!由奈さんの焼きそばパン!」

「ポテト、先に食べな?今、袋から出すから。」


 由奈は、フライドポテトを1本、ソフトクリームにちょこんと差した。


「ああっ、なにするのよー!」

「一緒に食べてごらん。美味しいから。」

「ポテトとソフトクリーム?え〜?」パク。

「合うでしょ?」

「(⁠☉⁠。⁠☉⁠)⁠!」

「あはは、その顔!」

「これは…やばい!ソフトクリームもう1つ買ってくる!」

「まぁ、待て待て。足りなかったらにしなよ。ほら、焼きそばパンもどうぞ?」

「うわぁ!美味しそう〜!由奈さん、上手〜!」

「あはは、パンに挟むだけなのにそんなに褒められると困るなぁ。」

「いただきまーす!あむっ、もぐもぐ…ごっくん。くわぁ!ちょーーー美味しいっ!ひより、毎日これ食べたい!」

「えー、毎日は飽きちゃうって。じゃ、たまにはお昼用に作ってあげましょう!」

「やーったぁ!」


 晴天に涼しい気候。久しぶりに来た動物園。買い食いの楽しさに、優しい由奈が作ってくれた焼きそばパン。


 ひより、イキます。


 すごい…。ひよりって、前世でどんな徳を積んだんだろ。。こんなにいっぺんに幸せがひよりに…。あとから請求書が来たりして…。


 ベンチに隣り合ってぴったりとくっついて、面倒くさそうなのに嬉しそうな顔で世話を焼いてくれる彼女。にっこりと微笑みながら、ひよりの話をちゃんと聞いて返事をしてくれる。それに、この横顔、、


「由奈さん、美人。かっこよくてかわいい。大好き。。」ヨダレ・・・


「どうしたの急に。ひよりもかわいいよ。大好き。」


 ほら…これだよ。今ひより、心臓ちょっと止まったからね…。ギュってした。たぶん、この人が言ってることは本当。だって、顔がデレデレだもん。


「由奈さん、ひよりのこと好きだね?」

「え?うん。なにそれ。」

「好きっぽいから聞いた。」

「好きだから一緒にいるんでしょ?」

「うん。でもたまに、なんでこんなに素敵な人がひよりのこと好きなんだろ?って思っちゃう。」

「ひよりって、いい女だよ。少なくとも私にとっては絶対手放したくない恋人だね。」


 ああ、どうしよう…。もうダメ。ひよりの心をこんなにかき乱すなんて、、


 *この子は現在、右手に焼きそばパン、左手にオレンジジュース、口の中にポテトが詰まってます。由奈から見て、決してムードはありません。


「由奈さん、、好き。お願い、キスして・・・。」ウットリ


「え、あとでね。ほら、食べ終わっちゃいな?次、パンダだよ!」


「えええええ~。。。ここはぶっちゅぅぅぅっとかますところじゃないのぉ??」ピヨリガッカリー


「やだよ。ポテト詰め込みすぎてリスみたいになってるじゃん。」


「そういうひよりのこと好きじゃん。由奈さんはマニアだから。」


「帰ったら沢山キスしようね。ほら、レッサーパンダ見るんでしょ?ひよりのレッサーパンダの真似、見たいな?」


「もう、、わかったよ。由奈さんにしか見せないんだからね。ひよりのレッサーパンダは年季はいってるよ!」*立ってほげーってするだけ。


「さぁ、行こう。」*食べかけの焼きそばパンをひよりの口に押し込む。


「もごぉ!!もごごんぐんぐご!」


「何言ってるかわからない、かわいい。」


「( ˘ ³˘)んー」


「あとでね。笑」



 由奈の心の声


(さて。このままひよりを楽しませて、帰ったらどうやって勉強させようか、、。エッチもするとなると、スケジュールが大変だ。)


 まぁ、いいけど。くっそかわいいから。



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